映画

『まだまだ熱中!フィリピン映画』

よしだまさしさんから『まだまだ熱中!フィリピン映画』を送っていただいた。2020年7月発行の『熱中!フィリピン映画』の続編。『熱中!』で多くの作品を紹介していたけれど、語り切れなかったところがまだまだあるはずなのでぜひ続編を、と思っていたらこん…

日本語吹き替え版『タレンタイム』

Kawasakiしんゆり映画祭で『タレンタイム』を観た。バリアフリー上映で、副音声のイヤホンガイドがあった。登場人物ごとに違う人が声をあてていて、日本語吹き替え版のようで新鮮だった。背景説明の部分では場面や登場人物の様子を簡潔に説明しているけれど…

『熱帯雨』

東京Filmexで映画『熱帯雨』を観た。 マレーシア華人で、シンガポール人男性と結婚して、シンガポールの高校で華語を教えながら、家庭では半身不随の義父の世話をして、不妊治療をしつつ夫との冷えた関係を修復しようとするリン。理数系の教師はお金に余裕が…

災後7年目の物語『海を駆ける』

今週末から深田晃司監督の『海を駆ける』が公開される。2004年12月のスマトラ島沖地震・津波(インド洋津波)の最大の被災地で、30年続いていた内戦が津波被災を契機に終わったアチェ州の州都バンダ・アチェとその沖のウェー島(サバン)が舞台。 最大の謎は…

インドネシアと東ティモールの映画と「海を駆ける」

インドネシアと東ティモールの映画を題材にした上映会とシンポジウムを企画中。開催1か月前になり、もうお知らせを始めてもおかしくないのだけれど、最後のところでちょっと止まっているので半分だけ告知。 5月18日(金)の午後2時頃から8時ごろまで、会場は…

『クソ野郎と美しき世界』

『クソ野郎と美しき世界』を観た。上映している劇場数はそれほど多くなくて、しかも気を抜いているとすぐに満席になってしまうので、ようやく観ることができた。稲垣吾郎シネマナビ!で『タレンタイム』を紹介してくれた一宿一飯の恩。 自分が大切にしている…

インドネシア映画『Turah』

インドネシアで劇場公開中のインドネシア映画『Turah』を観た。 『聖なる踊子』で助監督をつとめたウィスヌ(Wicaksono Wisnu Legowo)の長編初監督作。プロデューサーは『聖なる踊子』『黄金上秘聞』『チャドチャド 研修医のトホホ日記』などのイファ・イス…

インドネシア映画『Cek Toko Sebelah』

インドネシアで劇場公開中のインドネシア映画『The Underdogs』を観て、エルネストつながりということでDVDでインドネシア映画『Cek Toko Sebelah』を観た。 タイトルの「Cek Toko Sebelah」の文字通りの意味は「隣の店を確かめろ」(隣の店と比べてみろ)だ…

インドネシア映画『Rafathar』

インドネシアで劇場公開中の映画『Rafathar』を観た。超能力を持ったスーパー赤ちゃんを誘拐しようとした2人組がさんざんな目に遭うコメディ。 タイトルのラファタル(Rafathar)は主役の赤ちゃんの役名で、それを演じた赤ちゃんの本名でもある。両親は役者…

インドネシア映画『Banda』

インドネシア映画『Banda: The Dark Forgotten Trail』を観た。マルク(モルッカ)諸島のバンダ島についてのドキュメンタリー。 前半は、スペインとポルトガルの世界分割の話から香料の話へ。 後半はそこに住んでいた人たちの話。オランダ植民地期の1920年代…

シンガポールのタレンタイム映画『Wonder Boy』

マレーシアとシンガポールで行われている芸能コンテストの「タレンタイム」は、もともと1949年にシンガポールでラジオ番組として始まり、1963年にテレビ放送が始まるとテレビ番組になった。タレンタイム全盛期の1950年代から1970年代にかけて、ラジオ/テレ…

インドネシア映画『Surga yang tak dirindukan』

『Surga yang tak dirindukan』を観た。ジャカルタ市内のDVD屋さんが壊滅状態で、ようやく見つけた1枚がこれ。 数日前に観た同タイトルの2の前編。こちらが作られたのが2015年、2が公開されたのが2016年12月から2017年にかけて。 先に2を観てから1を観…

インドネシア映画『TEN: The Secret Mission』

7月27日劇場公開のインドネシア映画『TEN: The Secret Mission』を観た。特殊部隊の秘密作戦もので、武装して小島に立て籠もった犯行グループから人質を奪還するため訓練を受けた特殊部隊10人が島に潜入して、犯行グループと死闘を繰り広げて人質を解放する…

インドネシア映画『珈琲哲學2』

ジャカルタのブロックMスクエアで『珈琲哲學2』を観た。映画の後は隣のフィロソフィ・コピへ。『珈琲哲學』の1(というか前作)がそろそろ日本で劇場公開されるタイミングで、2もいずれ日本で劇場公開されるかもしれないと思うので、これから1を観る人や…

ジャカルタで『いなべ』

Kinosaurusで深田晃司監督の『いなべ』を観た。ジャカルタの国際交流基金の企画。 冒頭でいきなり養豚シーンが出てくる。これをインドネシアで上映するのはさすがKinosaurusだと思って、いなべ市の山を背景に子豚がとことこ歩いてる場面でも出てきたらまるで…

インドネシアのイスラム恋愛映画「Surga yang tak dirindukan 2」

ガルーダ・インドネシアの機内上映でインドネシア映画の「Surga yang tak dirindukan 2」を観た。 2015年に公開された話題作の続編。人気作品の続編が失速するという話はよくあるけれど、これは例外。 続編だけれど、1作目を観ていなくても全く問題ない。も…

タイ特撮映画『プラロットとメーリー』

毎週楽しみにしていた『怪獣倶楽部』が終わってしまった。第3話のゼットンとの攻防も見ごたえがあったけど、最終回のアンヌ隊員からのメッセージもしっかり受け止めた。 今期は『ウルトラセブン』もあって特撮の濃度が高い日々を送っているが、特撮がらみで…

『タレンタイム』のDVDとUrbanscapes

お茶をいただきながら先日のマレーシア行きを思い出す。 忘れないうちにいくつかメモ。 はじめに、最近よく尋ねられる『タレンタイム』のDVDについて。前にも書いたことがあるけれど、しばらく前まで、クアラルンプールのSpeedyを3、4軒まわると、『細い目…

ガネーシュの「結婚」

『タレンタイム』について熱く語る人たちと話す機会があった。『タレンタイム』にはまだ掘り下げられるところがたくさんあり、特にインド系の文化や社会への理解が深まれば『タレンタイム』への理解ももっと深まると再確認。ヴィマラとマヘシュたちの関係な…

ラジオから始まったタレンタイム

いよいよ明後日に公開が迫った映画「タレンタイム」に関連して、実際にシンガポールとマラヤ(マレーシア)で行われていたタレンタイムの話を少々。映画の「タレンタイム」の話はほとんど出てこない。 タレンタイムは、1949年2月にシンガポールの英語ラジオ…

マレーシア映画文化ブックレット

待望の「タレンタイム」の劇場公開が近づいてきた。いろいろなところでヤスミン作品への感想を読む機会も増えてきた。いろいろな人のいろいろな見方を知るのはとても楽しい。 1つだけ残念なのは、ヤスミン監督のことを「アフマド」と書いている人がいること…

マレーシア映画『インターチェンジ』2

少し前に書いた『インターチェンジ』に関して忘れないようにメモ。 クラブ・エデンの歌手シェラ(Shela)は実在の歌手で、芸名も同じ。本人役で出演。劇中で歌っていた歌の歌詞は「魂は体を離れて・・・」。 『中央ボルネオ紀行』。カール・ルンホルト著。字…

シンガポール映画『Lulu the Movie』

華語題は『露露的電影』。制作はシンガポール。シンガポールで人気のテレビ番組「The Noose」のスピンオフ作品。Luluというのは主人公の名前で、日本語字幕では字数を短くするため「ルル」になるんだろうけど、「ルールー」とのばして発音している様子がかわ…

マレーシア映画『Show Me Your Love』

華語題は『大手牽小手』。制作は香港だけど、物語のほとんどがマレーシアで展開するのでマレーシア映画と呼んでしまおう。そうすると、2010年以降で(つまり『タレンタイム』以降で)お勧めしたいマレーシア映画のベスト作品。中華の親子和解もので、テイス…

マレーシア映画『Desolasi』

主人公アイマンがクアラルンプールを駆けまわる。CGを駆使して、魚が空を飛び、クアラルンプールを恐竜が走りまわる。 CGで思いがけない絵を見せるという部分と、一般にわかりにくい症状を持った人を社会にどう受け入れるかという部分と、神との関係をどう考…

マレーシア映画『Hanyut』

ジョウゼフ・コンラッド(ジョゼフ・コンラッド)の小説『オルメイヤーの阿房宮』が原作。いろんな意味でがんばってる作品。 マレーシア地域が植民地化されるより前の時期にこの地に流れ着いて、現地人の妻、地元の有力者ラジャとアラブ人商人、イギリス人た…

マレーシア映画『インターチェンジ』

2016年後半のマレーシア映画(一部シンガポール映画も)には見ごたえがあるものが多かったので忘れないうちにいくつかメモ。日本でも映画祭などで公開されるかもしれなと思うとどこまで書いていいか迷ったりもするけれど、基本的に物語の核心部分も含めて書…

『鳩 Pigeon』とシャリファ・アマニ

東京国際映画祭で『アジア・オムニバス映画製作シリーズ アジア三面鏡2016:リフレクションズ』を観た。フィリピン、マレーシア、カンボジアと日本が舞台の3作品。東南アジアでは過去の災いによる個人の痛手や社会の亀裂が今日も残っているとともに、人と人…

フィリピン映画「REquieme!」ほか

2015年後半から2016年前半にかけて観た映画でよかったフィリピン映画をいくつか。(何年か前の作品も混じっているのはシネマラヤのように過去の作品を上映する映画祭で観たため。) 筆頭は「REquieme!」(2012年)。タイトルはrequiem(レクイエム)にフィリ…

フィリピン映画「痛ましき謎への子守唄」

この1年間に観た映画でよかったものをいくつかメモ。1つ目はフィリピン映画の「A Lullaby to the Sorrowful Mystery」。原題は「Hele sa hiwagang hapis」で、意味は「尽きせぬ苦悩への子守唄」、言葉を補って訳すと「答えの見つからない悲しみに満ちた物語…