Sabah

「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(4) 銃撃戦と軍事作戦の影響と意味

大規模すぎる?軍事作戦 3月5日、マレーシアの治安当局は大規模な軍事作戦を展開して「スールー王国軍」の殲滅に乗り出した。警察と陸海空3軍の合同で、2000人を動員して、空から、陸から、海から包囲して攻撃したという。 「スールー王国軍」(という呼び方…

「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(3) サバ州の外国人問題とマレーシアの総選挙

マレーシア側からこの出来事を見たとき、不思議なのはどうしてこれほどまで大規模な軍事作戦を取らなければならなかったかということだ。その背景には、4月には行われると見られている次回総選挙で与党連合がかなり厳しい戦いを強いられそうで、勝利の鍵を握…

「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(2) スールー王国とサバ領有権問題

スールー王国のスルタンの末裔とは何者で、サバ領有権の主張とはどのような内容なのかをまとめておこう。 長くなったのでポイントをいくつか挙げると、 ・スールーのスルタンはサバが自分たちの土地だと主張しているが、そもそもかつてスールーのスルタンが…

「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(1) ラハダトゥの位置と事件の経緯

2013年3月1日、マレーシアのサバ州東海岸ラハダトゥで「スールー王国軍」を名乗るフィリピン人武装集団とマレーシアの治安部隊の間で銃撃戦となり、双方あわせて14人の死者が出る事件が発生した。その翌日には、別の村で地元警察と武装集団の銃撃戦が生じ、…

「海の道」その2

昨日の続きでフィリピン映画の「海の道」。 もう少し詳しく内容をメモ。自分のメモ書きとして結末を含めてあらすじを書いているので、未見の方はご注意を。 舞台はタウィタウィのボンガオ。 アザーンが聞こえる。 兄と妹。兄ジャヒドはトランスフォーマーのT…

フィリピン映画「海の道」

西スマトラの地震とジャワのムラピ山。ムラピ山では「番人」として地元の人びとから信頼を受けていた長老が亡くなったとか。 昼間は地震と火山の情報収集、夜はマレーシア映画という日が続いた。 一昨日観た「海の道」はマレーシア映画ではなくフィリピン映…

サバで増えているもの

ヤスミン作品の話が続いたが、少し時間を戻して8月のサバ訪問の話。 久しぶりのサバはいろいろと変わっていた。サバ開発問題研究所(IDS)はカラムンシン・コンプレックスから出てプナンパンにある独立した建物に入っていた。州経済企画庁(EPU)はMUISビル…

アミル・ジャヤの小説の英訳

何の縁か、マレーシアの本屋でこんな本を見つけた。 Amil Jaya. Burial Urn. (Institut Terjemahan Negara Malaysia, 2009) 著者のアミル・ジャヤはサバ出身でマレーシアの国民的な作家。サバ出身で全国レベルで通用する作家として高い評価を得ていたが、ASE…

テレビドラマ「Sekar」

コタキナバルの街にナジブ首相とジョセフ・クルップの顔が並んだ看板がいくつか出ていたのでどういう取り合わせかと思ったら、ナジブ首相がサバを訪れ、クルップが総裁を務めるPBRSの集会に参加するためだったようだ。たまたま泊まったホテルがその会場だっ…

コタキナバルのブルネイ人

コタキナバルは海沿いの街、というより海に向けて広がり続けている街なのだが、街を歩いていても海がほとんど見えなくなった。護岸工事?のために海岸に沿って囲いが立てられ、海にアプローチできなくなった。だからちょっと高い建物に上らないと海が見えな…

「ボルネオ」の熱帯雨林と弓矢

久しぶりのコタキナバル。日曜日なのでガヤ街のマーケットへ。骨董品屋の店主に会い、クダット沖で引き揚げられた沈没船から出てきた北宋の陶磁器という器を見せてもらう。でも、素人の私にはどう見てもつい最近焼いた器にしか見えない。一皿5万円にまけてや…

サバで見つけた本

Indigenous Ethnic Communities of Sabah: The Kadazandusun. (Herman J. Luping, Ministry of Information, Communications and Culture Malaysia, 2009) 1950年代のカダザン・ナショナリストとして著名なヘルマン・ルピンによるカダザンドゥスン人の起源と…

ボルネオ生物多様性保全・生態系保全プログラム

サバ州政府に勤務する妹分を訪ねてヤヤサン・サバ・ビルへ。ところが出張中で不在ということで、同じ建物のJICA事務所を飛び入りでのぞかせていただいた。かなり遅い時間帯にアポイントもなく飛び込んでしまったけれど、ありがたいことに日本人スタッフの方…

「1マレーシア」とカダザンドゥスン人

マレーシア映画祭では「伝説」の映画俳優や歌手たちに会う機会があったが、それとほぼ同じ日程で別の「伝説」の有名人たちが勢ぞろいする機会があった。 有名人と言ってもサバ以外ではほとんど名前が知られていないだろうが、ヘルマン・ルピンが「カダザンド…

1ボルネオで1マレーシア

昨日からマレーシア映画祭。22年目にしてはじめて半島部を出てサバへ。 午後はコタキナバル市内のセンターポイントで「伝説のスターに会おう」セッション。1950年代や60年代の映画で活躍した伝説の俳優や歌手が30人近く集まったのは壮観。もう40年も経ってい…

サバ映画「PTI」

サバ映画「PTI」は、前作「オラン・キタ」で大ヒットを飛ばした黄金コンビのアブバカル・エラとマット・コンゴによる作品で、「オラン・キタ」の姉妹版。こちらも大ヒットして続編まで作られている。以下、「PTI」と続編の「PTI2」の内容と結末まで書くので…

サバ映画「オラン・キタ」

この数年、マレーシアやインドネシアでは民族別・地域別の映画が作られるようになってきている。サバでは2002年からビデオCDの形で売られる地元映画が大流行している。そのきっかけとなったのが2002年制作の「オラン・キタ」。 「オラン・キタ」は、「陸の民…

Indon

『Gatra』の3月20日号は、アチェのガヨ人がGAM統治下のアチェと一緒にしないでもらいたがっているという記事があるので読んでみたが、ほかにマレーシアの駐インドネシア大使ザイナル・アビディン・ザインへのインタビュー記事も載っていた。 TKIやアチェ人移…

86対80−−マレーシアの総選挙

マレーシアで「民主主義の祭典」総選挙の見物を終え、ジャカルタに戻ってきた。選挙結果はいずれ各分野の専門家による分析が出てくるだろうけれど、その前にごく簡単な計算だけ。 日本でも報道されたように、今回(2008年3月8日投開票)の選挙では、与党連合…

サバを訪れるインドネシア人

このところ、日本からのお客さんに会うたびに決まって言われるのが「鳥インフルエンザは大変じゃないですか」という質問。どうやら日本ではインドネシアの鳥インフルエンザが大変だという報道がたくさん流れているらしい。 確かに死者が出たりしているので大…