『クソ野郎と美しき世界』

クソ野郎と美しき世界』を観た。上映している劇場数はそれほど多くなくて、しかも気を抜いているとすぐに満席になってしまうので、ようやく観ることができた。稲垣吾郎シネマナビ!で『タレンタイム』を紹介してくれた一宿一飯の恩。


自分が大切にしているものが失われたときにそれを取り戻そうと追いかける話。
大切なものだからこそ取り戻して自分の手元に置いておきたい。でも、大切なものが今の場所にうまく収まっているなら、そこにあることを見守りたい。愛と独占欲は葛藤するものだけど、それを気持ちの上で両立させようとする危ういバランスというか清々しさが感じられた。とっても大切なものだけれどそれはあるべきところにあってこそ輝くのであって、どんなに大切に思っていても自分だけの手元に置いて独占してしまったら輝きが失われてしまうことがよくわかっていて、でも大切だから自分の身近なところに置いておきたくて、という気持ちが葛藤してどこまでも追いかけていく。熱烈なファンのことを「追っかけ」と言うのと重なって、「追っかけ道」とでも呼べそうな清々しさが感じられるほど。


深田晃司監督の『歓待』で最後に闇に消えていった花太郎とアナベルが再会していたのでちょっと心が温まった。