インドネシアと東ティモールの映画と「海を駆ける」

インドネシア東ティモールの映画を題材にした上映会とシンポジウムを企画中。開催1か月前になり、もうお知らせを始めてもおかしくないのだけれど、最後のところでちょっと止まっているので半分だけ告知。


5月18日(金)の午後2時頃から8時ごろまで、会場はおそらく東京・新宿区。
上映するのは「天国への長い道」(Long Road to Heaven、2007年)と「ベアトリスの戦争」(Beatriz's War、2013年)の2つ。たぶん「天国への長い道」を2時ごろから上映して、シンポジウムを挟んで「ベアトリスの戦争」は6時ごろからの上映。


「天国への長い道」は、2002年のバリ島爆弾テロ事件を題材に、イスラム教の名によって行われたテロをインドネシアがどのように受け止めたのかを扱った作品。1つの事件を4つの視点から描くことで憎しみの連鎖を断つ道を探る。四方田犬彦の「テロルと映画」でも紹介されている。
「ベアトリスの戦争」は、2002年にインドネシアから独立した東ティモールが舞台。内戦の混乱で行方不明になった夫が16年ぶりに村に戻ってくるけれど、ベアトリスはその男が自分の夫であると自信が持てない。東ティモールで制作されたはじめての長編映画


インドネシアは2002年に2つの大きな喪失感を経験した。そしてその2年後にスマトラ島沖地震津波インド洋津波)でアチェを中心に大きな喪失を経験した。
2つの作品の上映の間に、2人のインドネシア地域研究者をパネリストに迎えて、2つの作品の作品解説とともに、インドネシア社会が喪失をどのように受けとめようとしてきたかについてのパネルディスカッションが行われる。パネリスト2人はどちらもアチェ津波被災地とゆかりがあるので、話はバリ島爆弾テロ事件と東ティモールの独立からアチェ津波に移っていって、特別ゲストを交えて「海を駆ける」の話になる予定。特別ゲストは「海を駆ける」の関係者の日程を調整中。ただしディーン・フジオカではないので念のため。


海を駆ける」はスマトラ島沖地震津波の被災地であるアチェ州のバンダ・アチェとその沖にあるウェー島のサバンが舞台。観客向けにいろいろな謎が仕掛けられている。
細かい仕掛けを含めていろいろ見どころはあるけれど、個人的に特に印象に残ったのはタカシ役の太賀の演技。インドネシア語のセリフもほんとにインドネシアの若者っぽいし、なによりも食事中や何気ない仕草が本当にインドネシアの若者を見ている気になる。
物語は「ほとりの朔子」の後日談のようにも思えるけれど、直接の物語は「いなべ」と重なる部分が大きい。「海を駆ける」にあわせて「いなべ」を上映してくれるところはないだろうか。


追記.
シンポジウム・上映会の情報が公開された。
東京シネアドボ「喪失の中の祈りと覚悟 映画が映す東南アジアの内戦・テロと震災・津波」(2018年5月)