マレーシア関係の本

Joseph Chin Yong Liow. The Politics of Indonesia-Malaysia Relations: One Kin, Two Nations. (Routledge, 2005)
歴史的にも社会文化的にも共通性をもつマレーシアとインドネシアが、それぞれのナショナリズムを発展させて、2つの別々のネイションを形成しつつお互いの関係を作っている様子を明らかにしたもの。分析の対象は2000年までなのでそれ以降の両国関係の悪化は触れられていない。
A Effendy Choirie. Islam-Nasionalisme UMNO-PKB: Studi Komparasi dan Diplomasi. (Peisil-324, 2008)
マレーシアのUMNOとインドネシアのPKBを「イスラムナショナリズム」という概念で分析したもの。UMNOはマレーシアのマレー人ムスリムを主要支持基盤とする政党で、独立以来与党連合の中心に位置づけられ、マハティール首相など歴代の首相を出している。PKBはインドネシアイスラム団体NUを支持基盤とする政党で、アブドゥルラフマン・ワヒド大統領を出した。イスラム性を掲げながらもナショナリスト的であるUMNOのあり方にならってインドネシアでもイスラム性を帯びたナショナリズムの発展の可能性を探ろうとしたもの。マレーシアに対して常に兄として接しようとするインドネシアで、マレーシアと比較する(その実態はマレーシアの経験に学ぼうとする)ことがごく普通に行われるようになったのは歓迎すべきことだろう。