2013-01-01から1年間の記事一覧

『ケンとメリー 雨上がりの夜空に』

締め切りに追われる毎日が一瞬途切れたので、全編マレーシアで撮影したという『ケンとメリー 雨上がりの夜空に』を観てきた。 この映画を観る人たちの多くはフー・ビンかRCサクセションのファンのようだけれど、マレーシアのファンとして観てもとても楽しめ…

シネ・マレーシア

日本で初めてのマレーシア映画祭「シネ・マレーシア」が開催される。主催者ではないが、ご縁でいくつかの部分で関わることになった。別の映画祭と重なっているのだけが残念。シネ・マレーシアで上映される作品はどれも一度は観たことがあるけど、『イスタン…

「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(4) 銃撃戦と軍事作戦の影響と意味

大規模すぎる?軍事作戦 3月5日、マレーシアの治安当局は大規模な軍事作戦を展開して「スールー王国軍」の殲滅に乗り出した。警察と陸海空3軍の合同で、2000人を動員して、空から、陸から、海から包囲して攻撃したという。 「スールー王国軍」(という呼び方…

「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(3) サバ州の外国人問題とマレーシアの総選挙

マレーシア側からこの出来事を見たとき、不思議なのはどうしてこれほどまで大規模な軍事作戦を取らなければならなかったかということだ。その背景には、4月には行われると見られている次回総選挙で与党連合がかなり厳しい戦いを強いられそうで、勝利の鍵を握…

「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(2) スールー王国とサバ領有権問題

スールー王国のスルタンの末裔とは何者で、サバ領有権の主張とはどのような内容なのかをまとめておこう。 長くなったのでポイントをいくつか挙げると、 ・スールーのスルタンはサバが自分たちの土地だと主張しているが、そもそもかつてスールーのスルタンが…

「スールー王国軍」のサバ州侵入事件(1) ラハダトゥの位置と事件の経緯

2013年3月1日、マレーシアのサバ州東海岸ラハダトゥで「スールー王国軍」を名乗るフィリピン人武装集団とマレーシアの治安部隊の間で銃撃戦となり、双方あわせて14人の死者が出る事件が発生した。その翌日には、別の村で地元警察と武装集団の銃撃戦が生じ、…

混成アジア映画

雑誌の編集作業からようやく解放された。「混成アジア映画」という切り口でアジアの映画と社会を語るという企画。映画の専門家(いろいろな地域やジャンルの映画をたくさん観てきた人たち)ではなく、地域の専門家(映画を含めて地域社会のことをずっと見て…

ブノハン

マレーシア映画『ブノハン』を観た。 2009年にヤスミン・アフマド監督が亡くなって、ポスト・ヤスミンのマレーシア映画をいくつか観たとき、それぞれおもしろいし楽しめるんだけれど、それでも私の中のマレーシア映画の歴代ベストで『タレンタイム』を抜く映…

「イスタンブールに来ちゃったの」

昨年は身のまわりのことがごたごたしていて観た映画や読んだ本のメモもほとんどできなかったけれど、だいぶ落ち着いてきたので少しずつ復活させることにしよう。というのも、去年のマレーシア映画は大当たりがいくつもあって、とても黙っていられないという…