2010-01-01から1年間の記事一覧

マレーシアで買った本

マレーシアで買った本。このところクアラルンプール滞在は1回につき数時間ということが多かったが、今回は少し長めに滞在することができた。妙な巡りあわせで、華語とマレー語の「同志」(同性愛)関係の本を1冊ずつ手に入れた。 Our Stories[我们的故事](…

『吉陵鎮ものがたり』

李永平(池上貞子・及川茜訳)『吉陵鎮ものがたり』(人文書院、2010年)を読んだ。 「台湾熱帯文学」シリーズの第1巻。マレーシア出身で台湾で活躍している作家たちによる華語(中国語)文学を通じて南洋性と中国性の交錯を考えるという試みで、それが「台…

シンガポールで買った本

数時間の滞在でシンガポールで買った本。 『新世紀全球華語詞典』(New Century Global Chinese Dictionary)(2010、北京商務印書館) 中国語で中国語を引く辞書だけれど、特徴はそれぞれの語義に「使用地区」の項目があり、「大陸」「台湾」「港澳」「新馬…

ムラピ山の噴火で竹の家が被害

日本でもときどき報じられているようだが、インドネシア・ジャワ島のムラピ山が噴火している。10月26日と11月6日に大きめの噴火があった。 火山灰が降ってきて、家が灰だらけになったり作物が被害を受けたりしている。写真は椰子の木。通常は枝が四方に広が…

「タイガー・ファクトリー」(2)

東京国際映画祭のアジアの風部門で「タイガー・ファクトリー」がスペシャルメンションを受賞した。日本側とマレーシア側で共同で制作された作品で、マレーシア映画だけれどマレーシアだけに留まらない「アジア映画」になっている。これからはアジアの国別映…

「タイガー・ファクトリー」

東京国際映画祭でマレーシア映画「タイガー・ファクトリー」と「インハレーション」を観た。 ウー・ミンジン監督は頭が切れる。前作の「海辺の物語」もそうだけれど、まるで観客にパズルを仕掛けているようだ。いくつかの断片を少しずつ見せていって、観客に…

「海の道」その2

昨日の続きでフィリピン映画の「海の道」。 もう少し詳しく内容をメモ。自分のメモ書きとして結末を含めてあらすじを書いているので、未見の方はご注意を。 舞台はタウィタウィのボンガオ。 アザーンが聞こえる。 兄と妹。兄ジャヒドはトランスフォーマーのT…

フィリピン映画「海の道」

西スマトラの地震とジャワのムラピ山。ムラピ山では「番人」として地元の人びとから信頼を受けていた長老が亡くなったとか。 昼間は地震と火山の情報収集、夜はマレーシア映画という日が続いた。 一昨日観た「海の道」はマレーシア映画ではなくフィリピン映…

マレーシアで買った本

クアラルンプールを走り抜けながら買った本。 Found in Malaysia. (Zi Publications, 2010.) マレーシアのインターネット・ニュースのThe NUT Graph(http://www.thenutgraph.com/)が掲載しているマレーシアの主に文化芸術関係の著名人インタビューをまとめ…

祝!『タレンタイム』字幕版DVD発売

少し前、『タレンタイム』の字幕入りDVDが売られているという噂があった。クアラルンプールのDVDショップで確かに売られていた。 結論から言うと、このDVDには英語とマレー語の両方の字幕が入っていて、どちらも内容は「完全版」と呼ぶのにふさわしい。 『タ…

マレーシアの職場に私用電話が多いわけ

46ヵ国のSNS利用を調査したところ、インターネットの交流サイトでの友達(ネットフレンドとかネット友達とか呼ぶらしい)が世界で最も少ないのが日本人、最も多いのはマレーシア人だったらしい。このニュースが流れてから、どうしてマレーシアではネットフレ…

『水辺の物語』(4)

アジアフォーカス・福岡国際映画祭で観たウー・ミンジン監督の『水辺の物語』のメモ。思いついた順に。 父は何でも知っている フェイが海辺でスーリンの母親を助けたとき、後ろの海をカンの船が通っている。毎日あのあたりを船で通っていて、スーリンの家族…

『水辺の物語』(3) マレーシア発のアジア映画

ウー・ミンジン監督について語る上でまず押さえておくべきことは、ウー監督がマレーシアの英語系華人であることだろう。「マレーシアにはマレー人、華人、インド人の3大民族がいて、それぞれが民族語を持っており、それと別に家庭では方言を使い、よそで他民…

「水辺」の物語――陸と海のはざまの物語

昨日に引き続き、アジアフォーカス・福岡国際映画祭で観たウー・ミンジン監督の『水辺の物語』について。 この作品の英語タイトルは『Woman on Fire Looks for Water』で、華語タイトルは『遺情』だが、日本語タイトルは『水辺の物語』になっている。英語の…

マレーシア発のアジア映画『水辺の物語』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭でマレーシア映画の『水辺の物語』を観た。ちょっとわかりにくいところはあるけれど、強くお勧めしたい映画の1つになった。 ちょっとわかりにくいところがある理由は、おそらく、この映画の物語が唯一の解釈に収斂していく…

サバで増えているもの

ヤスミン作品の話が続いたが、少し時間を戻して8月のサバ訪問の話。 久しぶりのサバはいろいろと変わっていた。サバ開発問題研究所(IDS)はカラムンシン・コンプレックスから出てプナンパンにある独立した建物に入っていた。州経済企画庁(EPU)はMUISビル…

『グブラ』−オーキッドは誰と結ばれたのか

ヤスミン・アフマド特集が終わって数日たつけれど、もう少しヤスミン作品について。 友人から、『グブラ』でオーキッドがアラン(ジェイソンの兄)と結ばれたと思ったと聞いて驚いた。最後にオーキッドがアランとベッドで寝ていたように見えたというのは何か…

なぜ「ムクシン」はイポーが舞台ではないのか

アテネフランセのヤスミン特集で知り合いになった映像関係の方とやり取りをしていて、どうやら映像の業界の人たちと私とでは映画に対する臨み方がずいぶん違うらしいことがわかってきた。 例えば「オーキッド3部作」とか「オーキッド4部作」とかいう言い方…

ドキュメンタリー制作と研究

スマトラの噴火については引き続き状況を見守るとして、少し前になるが土曜日のアテネフランセ文化センターでのヤスミン・アフマド特集の対談のことを少し。対談で石坂健治さんがうまくまとめていたけれど、ヤスミン作品は、香港映画やクラシック音楽などの…

日本版ヤスミン作品

アテネフランセ文化センターでのヤスミン特集。昨日の『ラブン』にはじまり、今日は『細い目』『グブラ』『ムクシン』まで観た。この4作品はこれまでに何度も観たけれど、日本語字幕で観るのははじめて。でも、違いは日本語字幕の有無だけではなかった。私…

ヤスミン世界のなかの「ラブン」

マレーシア・インドネシア関係悪化のニュースを横目で見ながら東京へ。アテネ・フランセのヤスミン特集の後半に間にあった。気分を盛り上げるためにこれから観る「ラブン」について少し。 「ラブン」はオーキッドが出てくるのでオーキッド4部作の1つに数え…

最近マレーシアから消えたもの

ほぼ半年ぶりにマレーシアを訪れて、最近消えたものがいくつかあるのに気付いた。 去年の7月にヤスミン監督が亡くなったとき、セントラルマーケット近くの壁に地元の芸術家によってヤスミン監督の肖像画が描かれ、ずいぶん長いあいだそのままになっていたが…

『タレンタイム』を読む

日本では今ごろヤスミン作品特集が上映されているはずで、できれば駆けつけて大きなスクリーンで日本語字幕でヤスミン作品を観たいところだけれど、タイミングが悪くマレーシアへ。断食月なので映画館でもマレー語映画がかかっていない。 マレーシア航空の機…

豚が野放しのレストラン

スラバヤのあるレストランに写真のような掲示があった。 書かれているのは「bebas babi」。インドネシア語で、bebasは英語でfree、babiは英語でpigなので、pig free(あるいはpork free)ということになる。 「duty free」のように、「free」を「〜なし」の…

スラバヤ

これまでインドネシアではスマトラを中心に訪れていたけれど、今回は縁あってスラバヤを初訪問。 空港の雰囲気がマレーシアの地方空港に似ている。町から車で1時間ぐらいの距離にあるので車で町に向かおうとするが、何か臭い。甘ったるい臭いで、しばらく嗅…

コピ・ルワックと津波コーヒー

最近のインドネシアではやっているものといえば、コピ・ルワック。ほとんどどこに行っても見かけると思うぐらい。 ルワックとはインドネシア語でジャコウネコのことで、ジャコウネコがコーヒーの実を食べて、その体内を通って糞として排出されたものを集めて…

インドネシアの入国審査

今年はインドネシアを訪問する機会が多いが、訪問のたびに入国審査で待たされる時間が長くなっているように感じられる。 今年に入ってからインドネシアの入国審査の際に指紋を取られるようになったらしい。入国審査官と対面して、目の前の機械に両手の親指を…

シンガポールの社会派DVD

シンガポールで見つけたDVD。 一般の報道などでは表に出てこないマレー人/ムスリム社会の様子を扱ったセミドキュメンタリー・ドラマ。タイトルや表紙がやや扇情的な気もするが、客に手に取ってもらえなければしょうがないという面もあるのかもしれない。内…

インドネシアで買った本

インドネシアで買った本。 あいかわらず2012年地球滅亡説の本が目立った。 2012an: Seribu Enam, Kalau Nggak Pedrcaya Tanya Toko Sebelah!. (Iwok Abqary & Teman-Temannya, 2010, Lingkar Pena) 映画「アヤアヤ・チンタ」のパロディー本を書いた人たちが…

インドネシア映画『Tanah Air Beta』

東ティモールが1999年にインドネシアから独立して、住民の多くがインドネシア領側の西ティモールに避難し、家族が東ティモール側と西ティモール側に分かれることになった。西ティモールに母親と逃げてきたメアリーは東ティモールに残った兄と会うために国境…