最近マレーシアから消えたもの

ほぼ半年ぶりにマレーシアを訪れて、最近消えたものがいくつかあるのに気付いた。
去年の7月にヤスミン監督が亡くなったとき、セントラルマーケット近くの壁に地元の芸術家によってヤスミン監督の肖像画が描かれ、ずいぶん長いあいだそのままになっていたが、今回訪問したら上から別の絵が描かれていた。永久に保存しておくわけにはいかないだろうから、1年たって別の絵を描くことで消すことにしたのだろう。
ヤスミン監督の肖像画 - ジャカルタ深読み日記


マレーシアの文芸を中心に硬派の記事を書くことで知られていた『Off The Edge』が創刊から5年で停刊になった。最終号は今年の6月号。広告が取れず、最後の数ヵ月は雑誌の販売単価を倍の12リンギにしたものの焼け石に水で、採算があわずに停刊となったらしい。よい雑誌で毎月楽しみにしていたのでとても残念だ。
発行元の会社は新しい社屋に引っ越していて、訪れてみると、これからはカネになる事業に集中していくという社員たちの雰囲気が強く感じられた。『Off The Edge』の編集にかかわっていた人たちはStar紙に移ったらしい。
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/furuta-semi/articles/yamamoto20071101.html


雑誌の停刊と言えば、マレーシアのイスラム雑誌でありながらマレーシアだけでなく世界のムスリム社会に関する記事が多くておもしろかった『Milenia』(マレー語)と『Forward』(英語)のうち『Forward』が今年に入って停刊している。


さらに、イスラム系の雑誌の停刊と言えば、インドネシアの『Madina』も去年の暮れあたりからみなくなった。これについては停刊なのか流通上の問題で得にくくなったのか未確認。いずれにしろ、マレーシアやインドネシアの社会について通り一遍の記事でないものが書かれていておもしろいと思っていた雑誌が今年に入ってから次々と停刊になっているのがさびしい。