『まだまだ熱中!フィリピン映画』

よしだまさしさんから『まだまだ熱中!フィリピン映画』を送っていただいた。2020年7月発行の『熱中!フィリピン映画』の続編。『熱中!』で多くの作品を紹介していたけれど、語り切れなかったところがまだまだあるはずなのでぜひ続編を、と思っていたらこんなに早く続編が出た。

コロナ禍のフィリピンが舞台のボーイズ・ラブのウェブドラマ「GAMEBOYS」(全14回)を日本語字幕で観る方法など、『まだまだ熱中!』にもお得情報がたくさん載っている。

  

『まだまだ熱中!』のお得情報として、フィリピン映画を実際に観てみたいという人向けに、日本でネットフリックスで観られるフィリピン映画43本を紹介している。ジャンル別に簡単な内容紹介もあってとても良いガイドだけれど、目を引くのは邦題だ。ネットフリックスが付けた邦題なのかよしださんがつけたのかわからないけれど、なるほどと思わせる訳がたくさん並んでいる。

たとえば、「Girl, Boy, Bakla, Tomboy」が「ばらばら四つ子の幸せのパズル」とか、「Beauty and Bestie」が「替え玉美女はトラブルの元」とか、「Bride for Rent」が「ニセ夫婦はじめました」とか。内容を考えると確かにその通りという邦題ばかりで、邦題を見ているだけでも楽しい。

(追記.ネットフリックスのフィリピン映画の記事の邦題はネットフリックスで付けたものとのこと。)

  

『まだまだ熱中!』(と『熱中!』)が私にとって魅力的なのは、フィリピン映画を愉しんでいることだ。映画の愉しみ方は人それぞれだけれど、私にとっての映画の愉しみ方は、作品中の物語と、映画を作っている人たちの物語と、さらにそれを観る自分たちの物語を切り分けずに混ぜてしまうというもの。もちろん作品は作品で、作り手たちの人生と作品内容は関係ないものなのだけれど、そこをあえて混ぜてしまうという愉しみ方がある。それに加えて、映画の観客である自分自身の物語も混ぜてしまうともっと愉しめる。

こういう映画の愉しみ方は一般的ではないかもしれない。でも、作品の紹介に監督や役者エピソードを交えるだけでなく、映画祭に事前に念入りに準備をして臨み、当日の劇場での行動を実況風に語り、その成果を振り返る様子を記事にして『まだまだ熱中!』に盛り込んでいるのを見ると、よしださんにも私と同じような映画の愉しみ方を感じる。

『まだまだ熱中!』は、最新版のフィリピン映画のガイドであるとともに、フィリピン映画の世界に入り込んで愉しんでいるよしださんの様子が織り込まれることで全体で一つの読み物となっている。