スハルト元大統領(続き)

半旗

ジャカルタに戻るとみんな待ち構えていて、次々にスハルト元大統領死去の関連情報を教えてくれた。
亡くなって2日間はテレビも新聞もスハルト一色で、テレビではどの番組もスハルトの業績をたたえるものだったとか、政治家たちが1人1人コメントしたけれどアチェ州知事だけはまだコメントを出していないとか、大小とりまぜていろいろな話が出てくる。
それを聞いていて1日終わってしまったような気がする。1週間は喪に服すようにということなので、とりあえず我が家でも1週間半旗を掲げることにした。


『テンポ』がさっそくスハルトの特集号を出していたのでずいぶん早いなとびっくりしたけれど、よく見たら通常の表紙にもう1枚表紙を重ねただけらしい。
ほかの新聞雑誌は明日探してみよう。ところで日本語の記事で、どこでだったかスハルトが亡くなったのでコーランの「ヤシンの手紙」を読んだと書いてあったような気がした。原語がsuratだから「手紙」って訳したんだろうけれど、あれはふつうは「章」と訳すものだと思っていた。聖書だと「・・・の手紙」というのがたくさん出てくるけれど、あれはみんな人の名前だから違うものなんだろうな。


みんなの話にだいたい共通していたのは、スハルト時代に政府は農村のすみずみまで目配りしてくれていたし、社会も経済も安定していたし、いろいろなことをして人々を発展に導いてくれたのでよかった、小さな民たちはみんなスハルトに感謝している、という意見だった。
スハルト政権後にメディアや政党が解禁になって、それぞれ支持を得るために目立とうとしてスハルトを悪く言ったりする人たちもいる。彼らは派手なので目立つけれど、数としては多くない、圧倒的多数はスハルトを支持している、ということらしい。
以前、マレーシアのことはよく知らないけれど書物などでなんとなく知識はある人で、マレー人優先政策があるとか国内治安法があるとかインドネシア人労働者が殴られたとかいった話を積み重ねて「マハティールはスハルトと同じ独裁者だ」と言ってこちらの反応をうかがう人の応対をさせられたことが何度かあった。そのときの気分にもよるけれど、「マハティールは確かに強権的な手腕を使うことがあるけれど、スハルトのような独裁者ではないと思う」と答えたりしていたように思うのだけれど、もしかして後半部分も見直しが必要だということだろうか。


よくわからないのでネット上でどう語られているかをざっと読んでみた。興味深いものをいくつか。


スハルトの凄いところは、彼が人間の汚い部分を良く理解していたこと」
スハルト – Omong Kosong Lagi


「自分が二十年かけて築き上げた物を、最後の十年でほとんど壊してしまった人物」
同人作家の時事・歴史放談Blog : スハルト死す


インドネシアが安定して成長してきたのはほんの最近(ここ十数年)
http://www.samsul.com/1998/01/09/post_112.php