劇団態変「月下咆哮」

友人に紹介されてTaman Ismail Marzukiで劇団態変の「月下咆哮」を見てきた。
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この劇団は身体障害者が障害自体を表現に転じることを掲げて活動している世界で類を見ない劇団だそうで、今日の舞台に出た主宰の金満里さんも身体障害者。体の動かせる部分を使って舞台を動きまわり、幕ごとにがらっと違う人物を何役も演じている。


自分の意思で動かせるけれども動かしにくい部分を使った演技がいちばん苦労しそうだと思う。だから、花をつまみあげたり、上着を脱いだり、帽子を飛ばしたり、さらにはバリ舞踊を踊ってみたりと、手先を使った表現のときにはついつい見入ってしまう。
でも、目が釘付けになるのは自分の意思で動かせない部分だった。金さんは腰から下が自分の意志では動かせないようで、舞台を転がりまわると足がまさに「あとからついてくる」という感じで動いている。あるいは、金さんが足を抱えると、足首が顔につくぐらい右足が高く上がる。人の体ってこういう動きもするのかと、ついつい足の動きの方に目が向いてしまう。


明日(31日)が最終日だそうなので、関心のある人は国際交流基金に問い合わせを。
http://www.jpf.or.id/en/index.php?option=com_content&task=view&id=42&Itemid=1


ところで、劇団の製作日記がブログとして公開されている。それによれば、公開前の取材でちょっとしたトラブルがあったらしい。
「月下咆哮」には東南アジア風の一幕があり、インドネシア人の観客にとても好評だった。インドネシアの民話「パンジ・スミラン」から題材をとったもので、金さんがマレーシアで滞在したいたときに出会ったものだそうだ。
取材で金さんがそのことを正直に説明すると、穏やかな雰囲気が一変して「マレーシアはインドネシアの民話まで持っていくのか」と詰問され、とんだとばっちりを受けたらしい。シパダン・リギタンをマレーシアに奪われたという恨みはかなり根深いようだ。
劇団態変・製作日誌