マレーシアで買った本

引き続きマレーシアの補欠選挙後の動きとTALEnTIMEの評価をウォッチ。


補欠選挙後に新首相の新内閣が発表された。マレー人政党の青年部長が落とされてかわりにマハティールの息子が入閣したほか、サバから多数の入閣があったことが目立った。


TALEnTIMEについては、権威のある筋からの批評は何日か前に紹介したように「マレー人社会の現実を反映していない」というものだったけれど、一般の人が書いているブログ「最高のマレーシア映画」とか「泣いた」とかかなり好意的に書かれている。前に「男の子が泣いて女の子はそうでもない」と書いたけれど、女の子もたくさん泣いているらしい。英語、マレー語、華語のどのブログでもだいたい同じ。あとは、登場人物の3人の男の子がみんなかっこいい、という意見が多い。


今回マレーシアで見つけた本。

Suku Etnik Bajau: Urbanisasi, Perubahan dan Pembangunan (Gusni Saat, DBP, 2008)
バジャウ人によって書かれたバジャウ人についての研究書。これまでコタキナバル近郊のある村についてのモノグラフを書いたりしていたけれど、ほかのバジャウ人研究の文献を網羅的に読んで、それをバジャウ人の立場で整理してまとめたもの。

Old vs New Politics in Malaysia: State and Society in Transition. (Francis Loh Kok Wah, SIRD, 2009)
80年代から続いている月刊誌アリランに掲載した記事を選んで整理したもの。現在の与党体制に対して批判的で、いよいよ政権交代だと声を上げた研究書の1つ。サバ政治についてもいくつかの章が割かれている。この人はサバを主に「少数民族」と「州の権利」という2つの点から見ているので、サバ内のムスリム住民をどう扱うかが悩ましいところ。

Fatimah's Kampung (Iain Buchanan, CAP, 2008)
絵本。しばらく前に漫画家ラットが描いた「カンポン・ボーイ」(日本語訳では「カンポンのガキ大将」)があったけれど、あれと同じノリで、ジャングルを切り拓いて作った集落のまわりがどんどん開発されていって商業地区になり、トラたちの居場所がなくなり、ついに最後には礼拝所も取り壊されてしまう様子を描いた絵本。ラットの本と違うのは、絵がとても細かくて背景も全部描きこまれていること。見ているだけで楽しい。誰か日本語訳を出してくれないかなと期待。