ジャワ・スマトラ雑感

帰ってきたら帰ってきたですべきことが山積みになっている。たぶん改めて書くことはないだろうこの間の出来事や発見を項目だけでもメモ書きしておこう。
成田空港の第1ターミナル南ウィングの折紙博物館。折り紙で作った能登の風景が飾られていた。御陣乗太鼓もキリコもみんな折り紙で作られている。
西ジャワの地震。携帯電話網が広がったために緊急時の情報伝達と意思決定のあり方が変わってきている。学校が壊れるとテントで授業を受けることになるのだけれど、テントは熱くて3分も持たないので授業にならないのだとか。誰か熱くならないテントを開発してもらえないものか。需要は大いにある。
西スマトラ地震。現場にいると全体像が見えなくてうまく行動できない。現場から離れたところで情報収集して全体像をつかむ役割を担う人が必要。西スマトラの状況については11月25日に東京で開かれる報告会に期待。
アチェ津波避難訓練。住民の避難訓練ではなく行政の避難訓練と見ないと的外れなコメントをしてしまうことになる。
津波避難訓練前夜の打ち合わせ。インドネシア語での3時間の説明会。日本やドイツからの参加者はさっぱりわからない場に長々と付き合わされて大変不満だった様子だが、「場を割らないで全員で意思決定する」というインドネシア式の決め方がよく表れていたので興味深かった。人の出入りが激しく、さまざまな背景を持った人々が集まる場では、情報伝達と意思決定がとても重要になると改めて実感。
アチェイスラム法州知事と州議会のかけひきのようなもの。注目しているというメッセージを伝えれば伝えるほどイシューになるので、関心を払わない態度で見守ることにする。


この間に読んだ感動的な本。
『「空気」と「世間」』(鴻上尚史講談社現代新書、2009) 職場や学会でイベントを運営するときに指示系統を無視して1人で突っ走ってぐちゃぐちゃにしておきながら「必要な情報を伝えてもらっていなかった」というおじさまたちがいるのを不思議に思っていたけれど、この本を読んですっきりした。インドネシアとマレーシアの違いもこれで解けるかも。
『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』(西林克彦、光文社新書) とても簡単な例を解きながら、自分がどこで読み飛ばしているのかが自分でわかる仕組みになっている。「深読み」の極意。論文を書くときに先行研究を読むのもこの方法で。
コミック版『数学ガール』(MFコミックス フラッパーシリーズ) 特に上巻。中学校あたりで習う数学の定理をしりとり式に紹介しているのだけれど、最後にぐるっとまわって一番最初の問いに戻ってくる仕掛けになっている。数学的にして芸術的。
中学か高校の頃にこういう本に出会っていられればよかったのにと本当に思う。