「能登の花ヨメ」(3) 穴水で能登丼

setiabudi2009-09-19

穴水へ。昼食は駅前の幸寿し。目指すは町役場でも紹介していただいた能登丼。
能登丼というのは能登各地のお店でそれぞれ出している丼飯で、店によって内容も値段も違う。何十種類もあって能登丼だけのパンフレットも出ているほど。これを能登滞在中に3食食べてもらおうということらしく、能登丼を食べるとスタンプを押してくれる。スタンプが3つ集まると能登関連グッズがあたるらしい。
今回の能登滞在ではスタンプが3つ以上集まったが、中でも特によかったのが幸寿しの能登丼。フルセットだと3800円で、そちらも捨てがたかったけれど、朝食をしっかり食べていたのでミニサイズの2000円にする。それでも海の幸が満載で、そのうえ牛肉もちょっと入っていて、こんなに盛りだくさんで2000円だとお店が赤字じゃないかと心配になるほど。これは何度でも通う価値がある。
http://www.kouzushi.org/2009/08/post-1364.html


ところで、幸寿しを訪れたのは能登丼のためだけではない。「能登の花ヨメ」のメイキングを見ていると、母親役の泉ピン子が魚をさばくシーンで手だけ別の人が演じていたが、それが幸寿しのおかみさんらしい。伺ってみると、ご主人が技術指導をして、おかみさんの手が確かに出演したらしい。出演した手を見せていただきながら映画の撮影当時の様子をうかがう。白羽監督は神戸の方で、震災直後に水などを持って被災地に駆けつけ、復興の様子を盛り込んだ映画を撮ろうという話になったとのこと。撮影現場を教えていただく。


商店街を歩いてみる。能登地震では主に商店街の建物が倒壊したが、いまでは再建されて新しい商店街になっている。復興縁日もあるらしい。穴水に限らず、地方の商店街では店仕舞いする店が増えていく問題がある。穴水もその問題への対応が迫られていた。震災はこの問題に緊急に対応させる働きをしたことになる。その結果がどちらの方向に行くかはもう少し時間がたたないと判断できないが、震災を契機に駅前商店街に新規店舗が2軒も増えたそうで、これはとても大きなニュースだ。このほかにもインターネットを使って全国に情報を発信するなど、穴水の駅前商店街は復興に積極的に取り組んでいる。
http://www.anamizu-fukkou.com/


商店街から少し北に行くと、高速道路の入り口付近に大きな郊外型のスーパーマーケットがあった。車が数百台停められる広い駐車場があり、食料品、日用品、本・CD、レストランなどいくつもの店舗が集まっている。能登地震の際には、駅前の商店街が大きな被害に遭ったため、本来ならば支援活動や情報交換の拠点になるはずの商店街が十分に機能せず、かわりに郊外のスーパーマーケットで被災者のコミュニティが形成されて情報交換などの場となったという。確かに、駐車場の広いスペースがあるし、店舗には物もあるので、車さえあれば避難所がわりにできそうだ。地元の駅前商店街を中心に町を盛り上げていこうとする立場からすれば複雑な思いだろうが、郊外型のスーパーマーケットは地方都市で災害時の一時避難場所にいいかもしれないと思う。


本・CD屋に入ってみると、DVDコーナーでは「能登の花ヨメ」がランキング7位に入っていた。地元本のコーナーでは「能登の花ヨメ」のロケ地ガイドが売られていた。お隣の食料品の「どんたく」では、どんたくイメージソングらしい「いきいきどんたく」と「能登にありがとう」のCDが売られていた。地元出身のソプラノ歌手が歌っている。ご縁なのでCDを買い、車の中でかけっぱなしにしていたら、「ドレミファソラシどんたくどんたく、ドシラソファミレどんたくどんたく」の歌が頭の中で鳴りやまなくなってしまった。


ロケ地ガイドを手に海沿いの道を車で走ると、家が海ぎりぎりのところに建っていて「能登の花ヨメ」の場面が思い浮かぶ。
そのまま七尾市に入り、能登演劇堂に立ち寄る。マクベスの宣伝の旗がたくさん立っていた。メインの演劇堂は、舞台の後ろの壁が扉になっていて、それを開けると舞台が外の山と繋がって山から馬が駆け入ってくるような演出もできるらしい。
あとは時間がないのでそのまま金沢へ。後半は駆け足になったけれど、能登にはまだまだ見どころがたくさんある。県外から穴水に行くには能登空港に飛ぶのが近いけれど、もう少しだけ時間があるなら、金沢からいろいろ見ながら能登をまわるのもおもしろい。能登丼のパンフレットを忘れずに。