ようやく年明け気分

ようやく年が明けた気になってきた。といっても春節のことではないし、正月のことでもない。自分の中で2009年度が明けて、2010年度にようやく追いついてきたという気になってきた。
この1年、締め切りに追われ続けてきた。英語の発表があると準備に時間が取られて他のことができなくなるという反省から、今年度は英語での発表をなるべくしないと心に誓った。でも、英語の発表は学会で話せばそれで終わりではなく、後から出版の話がついてくる。しかも、学会の翌年にぱっと本になるとは限らず、何年かしてから「あの学会の内容をまとめて本にすることにしました」とか連絡が来たりする。もう何年も経っているから話としてはちょっと古いんだけどなあと思いながらも一部書き直して本に載せてもらうことになる。それが、どういう巡り合わせか、今年は過去数年に行ったいくつかの発表がそれぞれ本になるタイミングが重なり、ほぼ1年中、英語の出版の作業にかかりっきりになってしまった。
原稿の書き直しは、学会で読んだ原稿に対して欧米の査読者から「教科書として売れない」とかコメントされて、どこをどう直せばいいかわからないけれどなんとか直すとまた同じようなコメントが戻ってきて、ということの繰り返し。それを繰り返してなんとなくわかったのは、査読者が書き直しを求めてくる場合、査読者がその本のテーマに関する本や論文を書いていて、それを参考文献リストに入れて本文で言及しろ、という意味だったりすることもあるようだ。学生時代、(特に英語の)論文を書くときにはとにかく関連する分野の研究をすべて盛り込んで読んだことにしてから本文に入れとうるさいほど言われてきたのはそのためもあるのかと納得。
今回は原稿の書き直しだけでなく、妙な縁で編者に名前を連ねることになったものもあるので、校正やら索引作りやらの作業が次から次へと、しかも何冊分も同時進行で来た。一番参ったのは索引作り。プリントアウトすると量が多くなるので持ち運びに不便だからとパソコンのモニターを見ながら索引を作っていたら、極度の眼精疲労による頭痛で倒れてしまった。一番ひどいときにはモニターを一瞬見てメールを確認するだけでも頭が痛くなる状態だったが、それでも締め切りは待ってくれないし、それ以外にも今年度に入って引き受けた仕事や原稿もあるしで、とにかく締め切りに追われ続けた1年だった。ようやく大きいところが終わり、気づいてみるとオンライン書店に発売予告で掲載されていたりして、本当にようやく終わったんだなという気持ちになった。
ほかの原稿はまだいくつかあるけれど、来年度に持ち越すことはない見通しが立った。振り返れば、2009年度を終わらせるために走り続けていたと思っていたが、同時に2010年度も過ごしていたらしい。来年度こそ、英語の発表を控えて、他の人たちの研究を読んで、もう少しゆっくりものごとを考えたい。
そうは言っても、家から一歩も出ずに原稿だけ書いていたわけではもちろんない。そう考えると、この1年は時間が全くないと思って過ごしてきたが、ないのは時間の余裕ではなく気持ちの余裕だったということか。幸いにも気持ちの余裕は出てきたので、この半年ぐらいのことについて、ほとんど忘れかけているものもあるが、完全に忘れてしまう前にダイジェスト版でメモしておくことにしよう。