マレーシア映画『Show Me Your Love』

華語題は『大手牽小手』。制作は香港だけど、物語のほとんどがマレーシアで展開するのでマレーシア映画と呼んでしまおう。そうすると、2010年以降で(つまり『タレンタイム』以降で)お勧めしたいマレーシア映画のベスト作品。中華の親子和解もので、テイストは『The Journey』や『わたし、ニューヨーク育ち』に通じるものがあるけれど、その2つが父親と娘・孫娘の話であるのに対して『Show Me Your Love』は母親と息子の話。
冒頭の舞台は香港。優秀な教師であり家庭生活も円満な青年カン。育ての親の葬儀に出るため子どもの頃に過ごしていたマレーシアを訪れ、そこで実の母親に久しぶりに再会する。年老いて人生の残り時間が少なくなった母親と過ごすためにマレーシアに残るが、母親は半分ぼけているのか元から奇天烈なのか奇妙な行動に出るので世話が焼けるし、自分は子どもの頃に捨てられたという思いがあって母親に素直になれない。でも母親も息子もそれぞれ相手のことを思っていたことが少しずつ明らかにされていく。
香港やマレーシア華人の事情に通じなくても物語の理解にはほとんど問題なく、母と子の物語としてわかりやすいので、きっと日本の一般の劇場で公開されるだろうなと思う。老若男女を問わず観て楽しめる作品だけど、特にある程度以上の年齢の男性にお勧め。でも軽い気持ちで観ていると大泣きするので注意。