『タレンタイム』のDVDとUrbanscapes

お茶をいただきながら先日のマレーシア行きを思い出す。
忘れないうちにいくつかメモ。


はじめに、最近よく尋ねられる『タレンタイム』のDVDについて。前にも書いたことがあるけれど、しばらく前まで、クアラルンプールのSpeedyを3、4軒まわると、『細い目』や『グブラ』などと一緒に『タレンタイム』のDVDも売られていた。Speedyというのは、パビリオンやメガモールなどの大きなショッピングモールに支店が入っていて、短期滞在者にも行きやすいし品揃えがよいDVDショップ。
そのSpeedyはしばらく前から中国語映画のDVDに重点を置くようになってきていて、マレー語映画のDVDの棚は訪れるたびに狭くなっていくなあと思っていたけれど、ついに今回、マレー語映画の旧作は3枚いくらの投げ売り状態になっていた。それを売り切ったらマレー語映画は新作しか入れないのかもしれない。投げ売りの中に『タレンタイム』もほかのヤスミン作品もなかった。
ということで、いまクアラルンプールのDVDショップで『タレンタイム』が見つかることはほぼ期待できないし、おそらく将来的にもそうなのだろうと思う。どうしてもほしければ地方都市のDVDショップに残っているのを探すことになるのかも。


なくなってきているのはDVDだけではない。雑誌も、イスラム系の雑誌は増えているけれど、文化芸術系の雑誌は書店でほとんど見かけなくなった。
ではマレーシア(クアラルンプール)の文化芸術系にはどこで触れられるのか。
最近は演劇がホットのようで、映画だと検閲されて上映できないようなものを舞台で見せることがけっこう行われているようだ。ただし言葉の問題もあるし、短期滞在者がぱっと訪れて楽しむにはちょっと敷居が高いかも。
それよりお手軽なものがUrbanscapes。クアラルンプールの古い建物を会場にしてアートや音楽が集まる祭典。今年で15年目だそうで、今年の開催は5月5日から21日まで。
以前はセントラルマーケットを借りていたけれど、今は近くの元銀行の建物をメイン会場にしている。地下に下りると金庫の中に展示があったりして、最新のアートを見るとともに旧銀行の建物を見るという楽しみもある。
このイベントを仕切っているエイドリアン・ヤップは、『ムアラフ』でブライアンを演じたブライアン・ヤップのお兄さん。ということで、運がよければ会場でブライアンに会えるかも。私が訪れたときはちょうど会場にいて、これがまた『ムアラフ』のブライアンそのものの顔で応対してくれた。念のために書いておくと、不機嫌だったわけでは全くなくて、喜びの表現の仕方が独特なんだろうと思う。写真を撮っていいか尋ねると、ふてくされた感じで「なんだよ写真かよ」とか言うんだけれど、でも喜んでポーズしてくれた。本当に『ムアラフ』のブライアンに会った気持ちになる。
会場にはアート雑貨のバザールもあって、そこに『タレンタイム』のメルー三姉妹の母親役のミスリナ・ムスタファ(『ムクシン』のセナおばさん役も)が出店していて、政治的メッセージを強く込めたトランクスを売っていた。
今週末まで開催しているので、クアラルンプールにいる人は一度訪れてみては。詳細は「Urbanscapes2017」あたりで検索を。