シムル島(スマトラ島)の地震

ジャカルタでは何も感じなかったけれど、今日(2月20日)の午後3時8分頃にスマトラ島北部で地震があったらしい。テレビのニュースではメダンのショッピングモールから人々が避難している様子などが流された。
メダンの知り合い何人かに連絡を取ると、メダンでの揺れは1分程度だったらしい。身のまわりに大きな被害はないそうだけれど、ほかの地域ではどういう状況なのかまだ情報がないという。
日本ではマグニチュード7.5と報じられているようだけれど、インドネシアではマグニチュード6.6や7.3など報道によって違いがある。震源アチェ西海岸沖のシムル島の近くだそうで、報道によればシムル島のシナバンでは地震で少なくとも3人が死亡。沿岸部の住民は津波を恐れて高台に避難したけれど、海の様子を見て津波はないと判断して村に戻った人もいる。ただし余震による建物の倒壊を恐れて家には入らず、家財道具をまとめて避難中。シナバンでは停電中との報道もある。電話など被災地との連絡は途絶えており、被害の全容はわかっていない。なお、空港には地震の影響はないとのこと。


念のために書いておくと、シムル島というのはスマトラ島の西海岸沖にある島で、行政上はアチェ州の一部。2004年12月のスマトラ沖地震津波では、100年前の津波の経験から「地震が来て海の水が引いたら高台に逃げろ」という言い伝えがあり、そのために津波による死傷者がほとんど出なかったことで知られた島。
シムル島の南には、2004年12月の地震津波そしてその3ヵ月後の2005年3月の地震でも大きな被害を受けたニアス島がある。行政上はニアス島は北スマトラ州の一部。
シムル島の対岸のスマトラ本島には西アチェ県ムラボや南アチェ県がある。この地域では、日本からは西アチェ県で日本赤十字が、南アチェ県でAMDA社会開発機構が復興支援活動を行ってきたことで知られている。12月にバンダアチェで話をうかがったところ、AMDAは現在も南アチェ県に日本人スタッフを駐在させて活動しているとのこと。
特定非営利活動法人AMDA社会開発機構 – 世界の元気を育てたい。
http://www.jrc.or.jp/kokusai/results/archives/results08.html


20日は夕方から地元のテレビを見ていたけれど、特にスマトラ地震についての詳しい報道はなかった。
MetroTV局の夜7時のニュース番組は、番組側が冒頭で6つのニュースのヘッドラインを紹介して、視聴者が電話をかけて何番のニュースを見たいか告げ、そのニュースを紹介するというもの。時間の都合で6つのうち3つしか見られない。
今日のヘッドラインではスマトラ地震もノミネートされていたので、視聴者から電話がつながるたびに「スマトラ地震を選べ!」とテレビ画面に念を送っていたけれど、1人目と2人目はそれぞれ別のニュース。最後の1人はスマトラ島のリアウ在住というので期待していると、なんとブラジルに建てられた回転する高層ビルのニュースを選んだ。リアウの人がスマトラ地震のニュースを選ばないとは、アチェや北スマトラ地震が他地域の人にとって関心の対象外であることを象徴的に示していると思った。
ただし、どの視聴者の電話につなぐかは番組側が決めることなので、はじめからどの3つを選ぶか決まっていたという可能性も考えられる。スマトラ地震のニュースは今日のできごととしてノミネートしないわけにはいかないけれど、ニュースで見せる映像がせいぜい5秒程度しかなかったりして、そのため冒頭のヘッドラインで紹介するだけにして、視聴者が選ばなかったということにしたということかもしれない。