NovaとMe

4連休の2日目。道がすいているジャカルタの街を抜けて空港に向かい、空港の雑誌屋をのぞく。


雑誌とはちょっと違うけれどタブロイド紙の『Nova』を見つけた。1面に『アヤアヤ・チンタ』のファハリとアイシャがお互いの額をくっつけている写真が載っていた。その下に「250万人が観た」という見出しがついていたので、その1人として記事を読んでみた。
内容は撮影裏話。脚本ではアラビア語の会話が多かったけれど、それだと観客動員が期待できないのでほとんどの部分をインドネシア語にしたなどのエピソードが書かれていた。そういえばこの映画の違和感のもとの1つは言葉にあって、登場人物どうしが英語やアラビア語インドネシア語を使いわけているシーンがある一方で、一般のエジプト人も含めてみんなインドネシア語で話していたりするので混乱する。この映画のインドネシア語は、インドネシア人の言葉と世界共通語の2つの種類があると考えたほうがいい。
撮影はカイロではなくインドとジャカルタとスマランで行ったそうで、図書館やアズハル・モスクのシーンはコタ地区のCipta Niagaビル、ファハリヤマリアが住んでいたアパートはスマランのKota LamaとLawang Sewuビル、法廷シーンはジャカルタのImanuel教会などと紹介されていた。そのうちに観光名所になったりするんだろうか。
この映画の人気の秘密は、恋愛物に宗教要素を入れたため、ふだん映画を観に行かない人たちを動員することに成功したということらしい。これは今やインドネシアで広く共有されている理解と考えていいようだ。同じ著者による別の小説の映画かも決まったようだし、これからインドネシアで宗教要素入りの恋愛映画が増えていくことは確かな動きのようだ。


もう1つ、ふだんは素通りするけれど表紙が気になったので手にとってみたのは「男の雑誌」『ME』の86号。表紙には、マレーシア初の宇宙飛行士シェイフ・ムスザファルがマレーシアの国旗のデザインの服を着て微笑んでいた。写真入のインタビュー記事が10ページあり、どの写真も甘い顔で写っている。
記事では「初のアジア人宇宙飛行士ではなく初のムスリム宇宙飛行士」と紹介されていたが、この言い方に対して本人はやや微妙な気持ちのようだ。
1日5回の礼拝など宗教上の行いはきちんと行うけれど、ナイトクラブや被り物をかぶらない女性に対して嫌悪感はないことが強調され、「敬虔だけれどバランスの取れたムスリム」として描かれていたのが興味深い。まるで人気スターのような気の遣いようだ。