映画「Talentime」その2

今日はマレーシアの3ヵ所で補欠選挙。夜の10時45分にテレビ中継で結果が発表された。半島部の2つで野党連合・人民協約(PR)が勝ち、サラワクでは与党連合・国民戦線(BN)が勝ったらしい。
ナジブ首相就任直後の選挙なのでご祝儀ということで半島部では国民戦線が勝つんじゃないかと思っていたけれど、意外な結果。サラワクは半島部とは違う論理が働いているので別にすれば、国民戦線の大負けと言っていい結果になった。国民戦線政権への国民の批判が予想外に大きく、首相を取り替えただけで国民の怒りはおさまらなかったということか。
ついでに言っておくと、地元のテレビ番組で政治家や学者が「サラワクは国民戦線支持が強い」と繰り返し言っているけれど、あれは国民戦線を支持しているんじゃなくて連邦与党を支持しているのでちょっと違う話。
補欠選挙についてはいずれテレビや新聞などでいろいろコメントが出てくるだろうからそれを見ることにしよう。


というわけで、映画「Talentime」の2回目に行って来た。
インド系の会話は字幕頼りになるので絵があまり観られなかったからとか、サバとクアラルンプールで観客の反応が違うか知りたかったからとか、シックス・センスを観た後でもう一回はじめから観直したくなるのと同じだとか、まあいろいろ理由は挙げられるけど、でもとにかくよかったからという理由に尽きる。
客の入りは悪く、20人程度のガラガラ状態。コタキナバルでも同じだった。でも指定席で、みんな後ろから座りたがるから後ろの方にごちゃっとかたまって座ることになる。隣近所の様子がわかってしまい、マレーシアの映画で観客がこんなに泣いてるのは初めて見たと思うほど、右も左もみんな泣いている。でもよく見ると泣いているのは男の子ばかりのようだ。特に母親との関係の話題になるとダメみたい。女の子たちはそうでもない様子で、「泣いてるの!?」と連れの男の子をからかったりしている。友だちと一緒に行く男の子は要注意。
名前をカタカナでどう書けばいいかなと思って聞いてみたら、メルルよりもメルー、マヘシよりもマヘシュ、カホよりもカーホウの方がいいような気がする。ということで昨日の記事の名前はそのように書き直しておくことにする。
2回目を観た追加の感想は、人生には光が大切だということと、どんなことがあっても約束をちゃんと守るハフィズは立派だということ。
この映画についてあんまり細かいことまで書くつもりはないけれど、マヘシュのおじさんが亡くなったあたりの話は忘れそうなのでメモしておこう。
マヘシュのお母さんはムスリムが嫌い。マレー人だけじゃなくてインド人ムスリムも嫌い。たぶん明確な理由はないのだろう。家族がムスリムになると自分たちのもとからムスリム側に連れて行かれてしまうという理解をしている。マヘシュがメルーの家に泊まることになった翌朝、事情を説明しようとメルーのお母さんがマヘシュを家に送り届けたものだから、マヘシュまでマレー人側に連れて行かれてしまったと映ったのかも。メルーのお母さんが一緒に来たのは逆効果だったか。
1つわからなかったのはマヘシュのおじさんが結婚することにした理由。まるで自棄になって結婚したみたいな語り方で、結婚相手に悪いんじゃないかと気になった。どこかで別の説明があったのを聞き違いか誤解しているんだろうか。
マレーシアのテレビで「オレピヤ〜」と歌っているCMがたくさん流れている。見かけたのは物語のうちインド人がらみのシーンを集めた編集になっていた。このCMを見た限りでは、インド人にはアピールしても、マレー人は「インド人の映画ね」と思われて観に行かないかもしれないと思った。「Talentime」では、インド人や華人がマレー人に対してどう思っているかを、観客がマレー人としてではなく一般的な話として見聞きできる作りになっていて、そこがすごいと思うんだけど、だからこそマレー人にこそ観てもらうといいと思うんだけれど。