ヤスミンの出演映画「S'kali」

新年気分が盛り上がらない新年をクアラルンプールで迎えて、思い立ってヤスミン・アフマドのお墓参りに行ってきた。まだ墓石がない仮埋葬の状態だったが、たくさん花が供えられていた。
ヤスミン監督 - ジャカルタ深読み日記
ヤスミンはイスラム教徒なので、お墓参りではお墓を掃除した後でコーランのヤシンの章を詠んであげることになる。そういえば、「細い目」の冒頭でオーキッドがコーランを詠んでいたのはヤシンの章だった。
もう1つのヤスミンゆかりの地、セントラルマーケット脇のヤスミンの肖像画は、まわりの絵が増えていたけれどヤスミンの絵は相変わらずだった。
ヤスミン監督の肖像画 - ジャカルタ深読み日記


夕方、映画好きの友人と会った。近況を尋ねると、これまで何年もペナンの実家に帰っていなかったけれど、思い立ってクリスマス休みを利用してペナンに戻ってお母さんや親戚たちと会ってきたという。ところがお母さんが「レストランにメガネを置き忘れた」とか「友だちの家に鍵を忘れてきた」とかトラブルばかり起こし、そのたびに「とってきて」と頼まれるのでさすがに嫌になり、「わざとトラブルを起こして気を引こうとするのはやめてくれ」と言って帰ってきてしまったという。
どこかで聞いたような話だと思い、話のついでに、ちょうど上映中の「ムアラフ」を観たらと勧めてみたけれど、観たくないという。理由を聞くと、「タレンタイム」のDVDを買ったら字幕がなかったので何の話かさっぱりわからなかったからだそうだ。確かに「タレンタイム」のDVDは字幕がなくてひどいと思うけれど、それは「ムアラフ」とは関係ないし、それに「ムアラフ」は映画館で観れば字幕が付いていると言ったのだが、それでもあれこれ理由をつけて行かないという。ここまで頑なに行かないと言っているということは、おそらくすでに「ムアラフ」を観たんだろう。久しぶりにペナンのお母さんを訪ねたというのはそういうことか。現実は映画のように行かなかったけれど、ちょっと気になっているからわざわざその話をしたんだろう。だとしたら「ムアラフを観に行け」と言ったのは余計だったか。


ヤスミン・アフマドの出演作品を1つ紹介。「S'kali」という映画。監督はイギリスを拠点にしているインド系マレーシア人。
映画「タレンタイム」 - ジャカルタ深読み日記
タイトルは、省略せずに書けばsekaliで、マレー語で「一緒」の意味。
クアラルンプールで暮らす5人の若者たちの物語。インド系の青年と華人女性が互いのことを気にかけていて、でも親からは「友だちづきあいならいいけれど結婚するなら同じ民族にしろ」と言われてどうしようか悩み、これに将来の進路をどうするか(国内にとどまるか外国に行くか)などが絡んで話が展開する。
インド系の青年は映画を撮りたくて、「ヤスミンにはなれないよ」とか言ったりしている。そうこうしているうちに物語の終盤にヤスミンがヤスミン役で登場して、この青年との間で「どうすれば映画が撮れるんですか」「考えちゃあだめ。感じなさい」などのやり取りが見られる。
マレーシアでDVDが売られているのを見たことはないが、通信販売で手に入る。