『いつまでもあなたが好き好き好き』

大阪アジアン映画祭で観たシンガポール映画。『ゴーン・ショッピング』の監督の作品。途中1か所だけ除いて全編華語で話が進む。しかも、シンガポール華語ではなく台湾や大陸の中国語の雰囲気。
あらすじは略。結婚教育局(WED)という役所のようなものが出てくる。これはおそらくシンガポールの社会促進局(SDU)をモデルにしていて、結婚(wed)にひっかけたネーミングだろうか。ついでに書いておくと、WEDが企画する官製見合いのようなRomantic AwakeningパーティーはSDUのRomancing Singaporeキャンペーンがモデル。
WEDやRomantic Awakeningパーティーをおもしろおかしく描いている。今年中に結婚率を上げないと来年度の政府の補助金が打ち切りになると大慌てになり、登録している男女に電話をかけまくってカップリングさせようとしたり、伴侶をゲットするための講習会では、男に対しては服の襟を立てろ、女に対しては座っているときに足を組み、頭を下げて瞬きしながら上目づかいで男を見ろとかレクチャーしている。Romantic Awakeningパーティーでは、参加者何名かが男女で組になってダンスをしている場面で、女性どうしでダンスしているカップルが「あいつらをつまみ出せ」とつまみ出されてしまう。パーティーに参加して女性どうしで意気投合したのだけれど、WEDとしては子を産まないカップルを認めるわけにはいかないということか。でも、このパーティーは男女同数が参加しているはず。なのに男どうしのカップルがつまみ出される場面はなかった。ということは、ダンスしているほかのカップルたちの中に外見上は男に見えない男が紛れ込んでいて、男どうしでカップルになっていたっていうこと?
オチを直接書くのはやめておくけれど、最後に花びらが舞ってきて上を見上げると建物のゲートが映って、建物の名前が裏から読めるようになっている。それによって一応のオチがつく。もうちょっと別のオチはないのかとも思うけれど、シンガポールだからそうなるのかなとまあ納得。しかし、考えてみればその建物はシンガポールの象徴であるわけで、そこを出て台湾に飛び込むという結末は、それでいいのか少し気になる。