ガジャマダ大学

日本語学科の課外活動

ガジャマダ大学へ。日本で知り合いになったインドネシア人留学生がものすごく日本語が上手で、ガジャマダ大学の日本語学科出身だと言っていたので興味を持ってのぞいてみた。
夕方雨が降ったのでタイミング悪く教員は帰ってしまっていたけれど、図書室司書のウミさんがいて図書室を見せてくれた。本の種類と数がたくさんあること、それがきちんと並べられていること、しかもよく利用されているらしいことに驚いた。メダンの国立大学の日本語学科を見せてもらったとき、寄贈された日本語の本は職員室に鍵をかけてしまってあり、教員も学生もほとんど手をつけていない様子だったのと対照的。
本の種類も数も多いけれど、ざっと見たところ新しい本はない様子。最近はインドネシアで日本語を教える学校が増えたので寄贈の順番待ちの列が長くなったんだとか。
ウミさんはガジャマダ大学の出身ではないそうだけれど、それでもものすごく日本語が上手で、こんな環境なら学生も日本語が上達するだろうと納得。


雨で帰れないため隣の歴史学科の職員室ものぞいてみると、アフマド・アダビ・ダルバン先生が応対してくれた。
日本から来たというと、2006年のジャワの震災のときに日本の東南アジア学会が被災学生に支援してくれたと教えてくれた。被災した学生50人に50万ルピアずつ義捐金を渡して学業の助けにしたらしい。
歴史学科が属する文化学部のすべての学科から、地震で実家が倒壊したとか家族が死亡・重傷を負ったとかいった条件によって50人選んだとのこと。対象の学生をどう選んだのかと尋ねると受給した名簿をさっと出してきたりして、情報の管理のよさに驚いた。
今月から新学期が始まり、歴史学科ではオーラルヒストリーのクラスで震災の経験を聞き取り調査して記録する計画を立てているらしく、東南アジア学会の研究者と協力して進める話も出ているとか。
スマトラ沖地震津波ジャワ地震のときに私の所属していた職場や学会でも義捐金を集めていて、集まったお金をどうしようかと担当者が頭を悩ませていた。
組織に所属していると、個人の意思とは別のところでこういった活動に動員されることがある。でも、それを契機に他の人と関係が作られていくのは悪くないことだと思う。募金がいくら集まったかが重要なのではなくて、それをもとにどういう関係を作っていくのか(そして、そこに自分たちの専門性をどう織り込ませるのか)が大切なのだろうと思う。だからこそ、組織が集めた募金をそのまま赤十字ユニセフに丸投げするのはどうかとも思う。そうするんだったらはじめから個人で赤十字ユニセフに直接募金すればいいんだし。
話がそれたが、地震の話になったついでに、日本軍政中に大きな地震があって被害が出たそうだけれど何か情報があるかどうか尋ねてみた。自分たちも文献資料を探す一方で聞き取り調査を行っているところでまとまった情報はないのだけれどと断った上で、地震の直前に動物たちがたくさん穴から這い出して逃げていったのを見た日本人が地震が来ると言って人々を避難させ、そのため被害がほとんど出なかった村があったという話をしてくれた。
調べ中ということは、震災以後に関心を持って調べ始めたんだろう。いくつかエピソードがあるはずだけれど、そのなかから日本人の知恵で助かったという話をわざわざ選んで聞かせてくれたということなんだろう。