ジャカルタ深読み日記

ヤスミンの本を書いて、いろいろな場所でヤスミンの話をする機会をいただいて、久しぶりにこの場に戻ってきたらデザインがすっかり変わっていた。改めて見てみると、デザインよりも「ジャカルタ深読み日記」というタイトルが気になる。

10年前にジャカルタに滞在することになったとき、滞在中に見かけたもののメモのつもりだったのでタイトルに「ジャカルタ」とつけた。ジャカルタ滞在が終わると日記も終わりのつもりだったけれど、その後も見聞きしたものをメモする場があるといいかなと思って使い続けることにした。ジャカルタとの関係はあまりなくなったけれど、かといって別の名前も思いつかず、なんとなくジャカルタの名前を残したままになった。

「深読み」は、辞書に「他人の言動や文章、物事の事情などを、必要以上に読み取ること。うがちすぎること。」とあるように、私の思い込みを書いているという意味でつけた。10年前には、「深読み」はもっぱらネガティブな印象の言葉として使われていたように思う。映画について書いたとしても、それは制作者の意図を想像しているということよりも、特に根拠のない私の勝手な思い込みなのであしからず、という気持ちから「深読み」とした。

ところが10年の間に状況が変わったようで、いつ頃からか、世間では「深く調べたり考えたりすること」というポジティブな意味でも「深読み」が使われるようになってきた。私だったら「深掘り」というところだ。「深読み日記」というタイトルを掲げていると、私がものごとを深掘りしたことを書いていると言っているようでどうも居心地が悪い。とはいえ、これも別の名前が思いつかないので、なんとなくこの名前のままで続けていくのかなと思っている。