Yasmin

ヤスミン作品と「翻訳可能性」

クアラルンプールでは「タレンタイム」のDVDはまだ売られていなかったが、「タレンタイム」のサウンドトラックCDを見つけた。ハフィズやメルーがタレンタイムで歌った歌が収録されている。しかも、それぞれの歌が英語とマレー語で収録されている。これを聴い…

ヤスミン監督の肖像画

ヤスミン監督が亡くなってから1週間が過ぎているが、マレーシアの新聞紙上では英語紙を中心にヤスミン監督の業績をたたえ、早すぎた死を惜しむコラムが何件も書かれている。改めてヤスミン監督の影響力の大きさを知るとともに、コラムの1つに「人は生きてい…

ヤスミン監督の追悼番組

マレーシアへ。夜9時からTV3でヤスミン追悼番組が放映されていた。番組の冒頭ではヤスミン監督の職場のデスクが映された。「そのままにしておいて」と書かれたメモがパソコンの前に置かれ、そのため主人を失った今もパソコンがつけっ放しになっていた。 追悼…

ヤスミン・アフマド監督

マレーシアの映画監督ヤスミン・アフマドが亡くなった。 7月25日は前から計画していたマレーシア映画の研究会の第1回だった。初回はやはりこれしかないということでヤスミン・アフマド監督の「細い目」(Sepet)を取り上げた。マレーシアに関心がある人たち…

「ラブン」――都会暮らしに慣れたマレー人

ヤスミン・アフマド監督が「細い目」の前に作ったマレーシア映画「ラブン」。 マレー語で田舎のことを「カンポン」という。マレー人はカンポンが大好きだ。ハリラヤ・プアサ(断食月明け)の連休には「民族大移動」と呼ばれるほどの帰省ラッシュになるし、都…

「レイン・ドッグ」――現実から積み上げる「もう1つのマレーシア」

ホー・ユーハン監督の「レイン・ドッグ」(太陽雨/Rain Dogs)は、美しい風景と音楽のなかに身が包まれるだけでも観て得した気分になるのだけれど、ここでは映画の内容の紹介をかねて思ったことを少々。 ホー監督は、ヤスミン監督と志を共有する(けれども…

「ムクシン」――創作と現実の境界を溶かす試み

「ムクシン」では、オーキッドとジェイソンの恋の行方のほかにも、「細い目」や「グブラ」で未解決だった謎がいくつか解かれている。 たとえば、ムクシン少年はオーキッドに友達のしるしとして「ずっと髪の毛を切らないで」とお願いする。そういえば、「細い…

「ムクシン」――オーキッドとジェイソンの恋の行方

「ムクシン」(Mukhsin)では、「細い目」と「グブラ」に続くヤスミン・アフマド監督のオーキッド・シリーズの続編として、前作までに謎が解かれなかったオーキッドたちの物語にどう決着がつけられたかがまず気になってしまう。最大の謎はオーキッドとジェイ…

「グブラ」――オーキッドと「もう1つの物語」、2つの「逆転」

「細い目」は「現実には存在しないマレーシア」を美しく描いた映画で、その中心にいるのが、現実のマレーシアにあるさまざまな関係を「逆転」させているオーキッドだ。では、「細い目」の続編である「グブラ」でオーキッドの「逆転」はどうなったのか。 「細…

「細い目」「グブラ」――現実にないマレーシアを美しく描く

ヤスミン・アフマド監督による「細い目」(Sepet)は日本でもかなり評判になった。私もこの映画がとても好きだ。 ところで、この映画について「マレーシアの多民族社会のリアリティを描いた」という評価を何度か目にした。そう言いたい気持ちはわからなくも…

引っ越し

ヤスミン・アフマド監督が次回作の撮影の下見に日本を訪問しているというニュースを読んだ。主人公の女性の名前はイノムなのでオーキッドのお母さんの物語。そのうちにオーキッドのお父さんの祖先をたどってイギリスに行ったりもするんだろうか。 さて、もと…

映画「Talentime」その3

選挙翌日の地元新聞の1面トップの見出しは「現状維持」。確かに議席数だけ見れば与野党の数は変わっていないけれど、半島部の2つの選挙区にあれだけ資源を投入した与党が2つとも落としたのを「現状維持」と呼ぶのはどうなんだろうか。 別の新聞には、「与党…

映画「Talentime」その2

今日はマレーシアの3ヵ所で補欠選挙。夜の10時45分にテレビ中継で結果が発表された。半島部の2つで野党連合・人民協約(PR)が勝ち、サラワクでは与党連合・国民戦線(BN)が勝ったらしい。 ナジブ首相就任直後の選挙なのでご祝儀ということで半島部では国民…

タレンタイム(Talentime)

ヤスミン・アフマド監督の最新作。とてもよかった。これまでのヤスミン映画に出てきた場所や道具や人物やエピソードをいったんバラバラにして組み立て直したような映画。(悪い意味でではなく)マレーシア色を薄くして、マレーシアのことをよく知らなくても…

「ムアラフ−改心」 ブライアンは改宗したのか?

東京国際映画祭で「ムアラフ−改心」(Muallaf)を観てきた。話の筋はわかりやすかったけれど、いろいろな要素が入っていて消化不良気味のところがあって、整理しようと帰りの新幹線であれこれ書いているうちに長くなったのでとりあえずここまでの部分をメモ…