映画

フィリピンの映画祭

フィリピン滞在中には通信環境の問題で書けなかったことのメモ。まずはマニラ首都圏の映画祭について、日付順に。作品紹介よりも開催情報を中心に。以下の情報は日付を含めて2015年6月〜2016年5月の情報。 6月29日〜7月7日、World Premieres Film Festival …

映画「珈琲哲學」

マニラのワールドプレミア映画祭でインドネシア映画の「フィロソフィ・コピ」を観た。タイトルは「コーヒーの哲学」かな。とてもよかったのでメモしておきたいけれど、これだけ出来がよいときっと日本でも上映される機会があるだろうから、物語の核心部分は…

マレーシア映画ウィーク

4月11日から六本木シネマートでマレーシア映画ウィークが行われる。マレーシア地域研究者として、映画を通じてマレーシア社会の今を紹介するとしたらどのようになるかという立場から企画の一部に加わった。地域研究と映画業界のコラボで、異業種の噛み合わせ…

「ノヴァ UFOを探して」

東京国際映画祭で「ノヴァ UFOを探して」を観た。いろいろな楽しみ方ができる映画。 高校時代の同級生が15年ぶりに再会してUFO探しの映画撮影の旅に出る物語。マレーシアであるかないかとは別に、青春物の映画としてとてもよくできた楽しい映画だった。でも…

『ケンとメリー 雨上がりの夜空に』

締め切りに追われる毎日が一瞬途切れたので、全編マレーシアで撮影したという『ケンとメリー 雨上がりの夜空に』を観てきた。 この映画を観る人たちの多くはフー・ビンかRCサクセションのファンのようだけれど、マレーシアのファンとして観てもとても楽しめ…

シネ・マレーシア

日本で初めてのマレーシア映画祭「シネ・マレーシア」が開催される。主催者ではないが、ご縁でいくつかの部分で関わることになった。別の映画祭と重なっているのだけが残念。シネ・マレーシアで上映される作品はどれも一度は観たことがあるけど、『イスタン…

混成アジア映画

雑誌の編集作業からようやく解放された。「混成アジア映画」という切り口でアジアの映画と社会を語るという企画。映画の専門家(いろいろな地域やジャンルの映画をたくさん観てきた人たち)ではなく、地域の専門家(映画を含めて地域社会のことをずっと見て…

ブノハン

マレーシア映画『ブノハン』を観た。 2009年にヤスミン・アフマド監督が亡くなって、ポスト・ヤスミンのマレーシア映画をいくつか観たとき、それぞれおもしろいし楽しめるんだけれど、それでも私の中のマレーシア映画の歴代ベストで『タレンタイム』を抜く映…

「イスタンブールに来ちゃったの」

昨年は身のまわりのことがごたごたしていて観た映画や読んだ本のメモもほとんどできなかったけれど、だいぶ落ち着いてきたので少しずつ復活させることにしよう。というのも、去年のマレーシア映画は大当たりがいくつもあって、とても黙っていられないという…

『同じ星の下、それぞれの夜』

縁あって『同じ星の下、それぞれの夜』を観た。タイ、フィリピン、マレーシアをそれぞれ舞台にした『チェンライの娘』『ニュースラウンジ25時』『FUN FAIR』の3つの作品から成るが、ここではマレーシアを舞台にした『FUN FAIR』を中心に。 「FUN FAIR」(フ…

ヤスミンのメッセージ

7月25日はヤスミン・アフマド監督の命日だった。それにあわせてヤスミンに関する本がマレーシアで出版され、ご好意で送っていただいた。 Yasmin How You Know? (Leo Burnett Malaysia, 2012.7, ISBN 978-967-11138-0-6) マレー語では「死ぬ」を意味する表現…

ヤスミン追悼上映会のナムロン特集

ヤスミン・アフマド監督追悼の上映会を今年も開くことになった。諸事情で平日の開催になってしまったため、参加できる人が限られてしまうことと、今年のテーマと密接に関係しているナムロンの都合があわずに来ていただけなかったのが残念。 http://www.cias.…

シンガポール映画祭

シンガポール映画祭がとてもよかった。観た作品を思い出しては、それぞれのつながりなどを考えて楽しんでいる。最終日しか行けずに、いくつも興味深い作品が観られなかったのがとても残念だけれど、でも2日経ってもまだ映画祭の余韻が残っている。 観たのは…

Sandcastle/沙城

病み上がりというか療養中ではあるけれど、ぼちぼち活動再開をと思っていたところにシンガポール映画祭で「Sandcastle」を上映するという。シンガポール・マレーシア関係者から話を聞いて、去年からずっと観たいと思っていたもの。 思うことがたくさんあって…

『セカンドバージン』の舞台マレーシア

『セカンドバージン』を観た。 もともとNHKでやっていたドラマであることは知っていて、何回か見たことはあった。でも登場人物の関係やストーリーを理解するほどしっかり見ていたわけではないので、劇場版を観たら話の展開が速いし登場人物の紹介はほとんど…

ヤスミン監督シンポ&上映会

ヤスミン・アフマド監督が亡くなって2年になる。東京では「ヤスミンの世界−ヤスミン・アフマド監督レトロスペクティヴ」がある。 ヤスミンの世界-ヤスミン・アフマド監督レトロスペクティヴ 7/16(土)からユーロスペースで開催します!|ニュース|コミュ…

『歓待』の存在感

『歓待』が一般公開されて感想がウェブ上でも見られるようになってきた。観る人によってまるっきり違う感想を持つ映画だろうなと思っていたけれど、本当にいろいろなのでおもしろい。私の感想は『歓待』のパンフレットに載せていただいたのでそちらをお読み…

映画『ビンの中のアレ』

少し前になるが、「マレーシア初の同性愛映画」という『ビンの中のアレ』(... dalam Botol)を観た。 同性愛行為が刑法違反になるマレーシアでは、映画で同性愛行為を描くことももちろん認められてこなかった。ところが昨年、同性愛者が悔いて異性愛者にな…

4月のできごとまとめ

4月が終わり、ようやく年度末が終わった気分になってきた。この間にいろいろあったけれど、ここで書く時間と気持ちの余裕がないままに過ぎてしまった。まとめて1か月分をメモ。 初の渡米はハワイ。ハワイをもって米国を語るのが適切なのかわからないけれど…

Space Battleship ヤマト

『Space Battleship ヤマト』は何をやらかしてしまったのか。 機内で上映していたので観てみた。あらかじめ書いておくと、私はアニメ版の「ヤマト」と「さらば」はいちおう観たが、あまり熱狂しなかった。ただし「永遠に」にはまってそこから「1000年女王」…

フィリピン映画『リベラシオン』

大阪アジアン映画祭で観たフィリピン映画。玉音放送を聞いても日本の降伏が信じられず、フィリピンのジャングルに籠って、1人、また1人と仲間が倒れていく中で1人だけ20年以上も生き延びた元日本兵の話。 はじまってしばらくして、あまり相性が良くない…

『いつまでもあなたが好き好き好き』

大阪アジアン映画祭で観たシンガポール映画。『ゴーン・ショッピング』の監督の作品。途中1か所だけ除いて全編華語で話が進む。しかも、シンガポール華語ではなく台湾や大陸の中国語の雰囲気。 あらすじは略。結婚教育局(WED)という役所のようなものが出…

『踊れ 五虎(ウーフー)!』

大阪アジアン映画祭でマレーシア映画の『踊れ 五虎(ウーフー)』を観た。物語自体はドタバタスポ根ものということになるだろうか。 この村に伝わる60年に一度のトラ舞いをどう受け継ぐかという話。虎舞いはこの家系にしか伝えられていない。しかも寅年生ま…

『マジック&ロス』−魂でつながる「もう1つの東アジア世界」

マレーシア出身のリム・カーワイ監督の第2作。監督の製作意図は大阪アジアン映画祭のQ&Aで明らかにされて会場から驚きをもって迎えられたけれど、それはそれとして、私は別の解釈でこの作品をとても興味深く観た。以下、私の解釈による「マジック&ロス」の…

『東京人間喜劇』

大阪アジアン映画祭の深田監督特集で『東京人間喜劇』を観た。 家族・夫婦や友人・恋人のような人間関係とは何なのか。自分自身の一部だと思っていて、離れてもいつかもとに戻ると思っているものについて、いざ離れてみるとその途端にもともと自分とは別のも…

『歓待』−アナベルの歌

映画『歓待』には、終わり近くにアナベルが歌う謎の歌が出てくる。大阪アジアン映画祭のQ&Aで深田監督が答えたところによると、ペルシャの詩人オマル・ハイヤームの詩の一部で、アナベルはそれを5つの言葉を混ぜて歌っているという。 オマル・ハイヤームの詩…

『少年少女』

大阪アジアン映画祭の1日目。シネヌーヴォという映画館で3本。天井の装飾も凝っていて、とても雰囲気のある映画館だった。製作スタッフとも身近に感じられる。 満席となった『歓待』については後で書くとして、まずは2本目の『少年少女』について。『歓待』…

『ヒアアフター』

物語自体は災害映画ではないが、インド洋津波の場面があるというので観てみた。津波のシーンは冒頭に出てきた。少し前に観た韓国の津波映画にも似たような場面があった。災害映画で津波の水に呑まれている場面を見るたびに津波の水が澄んでいて中の人や物が…

『あなたなしでは生きていけない』

国立民族学博物館(民博)のワールドシネマ。先月はヤスミン・アフマド監督のタレンタイムで450人の会場がほぼ満員だったが、今月はその半分ぐらい。 台湾人の友人からぜひ観るようにと勧められて行ったのだが、確かに観てよかった。観た後でいろいろと考え…

『新世界の夜明け』

「CO2上映展 第7回フィルム・エキシビション in OSAKA」で上映されたリム・カーワイ監督の『新世界の夜明け』を観た。 北京で何不自由なく暮らすココ。金持ち青年のジミーと付き合っているが、喧嘩してクリスマスは1人で過ごすことになる。かつて中国が貧し…