Malaysia

マレーシアで買った本

マレーシアで買った本。このところクアラルンプール滞在は1回につき数時間ということが多かったが、今回は少し長めに滞在することができた。妙な巡りあわせで、華語とマレー語の「同志」(同性愛)関係の本を1冊ずつ手に入れた。 Our Stories[我们的故事](…

『吉陵鎮ものがたり』

李永平(池上貞子・及川茜訳)『吉陵鎮ものがたり』(人文書院、2010年)を読んだ。 「台湾熱帯文学」シリーズの第1巻。マレーシア出身で台湾で活躍している作家たちによる華語(中国語)文学を通じて南洋性と中国性の交錯を考えるという試みで、それが「台…

「タイガー・ファクトリー」(2)

東京国際映画祭のアジアの風部門で「タイガー・ファクトリー」がスペシャルメンションを受賞した。日本側とマレーシア側で共同で制作された作品で、マレーシア映画だけれどマレーシアだけに留まらない「アジア映画」になっている。これからはアジアの国別映…

「タイガー・ファクトリー」

東京国際映画祭でマレーシア映画「タイガー・ファクトリー」と「インハレーション」を観た。 ウー・ミンジン監督は頭が切れる。前作の「海辺の物語」もそうだけれど、まるで観客にパズルを仕掛けているようだ。いくつかの断片を少しずつ見せていって、観客に…

「海の道」その2

昨日の続きでフィリピン映画の「海の道」。 もう少し詳しく内容をメモ。自分のメモ書きとして結末を含めてあらすじを書いているので、未見の方はご注意を。 舞台はタウィタウィのボンガオ。 アザーンが聞こえる。 兄と妹。兄ジャヒドはトランスフォーマーのT…

フィリピン映画「海の道」

西スマトラの地震とジャワのムラピ山。ムラピ山では「番人」として地元の人びとから信頼を受けていた長老が亡くなったとか。 昼間は地震と火山の情報収集、夜はマレーシア映画という日が続いた。 一昨日観た「海の道」はマレーシア映画ではなくフィリピン映…

マレーシアで買った本

クアラルンプールを走り抜けながら買った本。 Found in Malaysia. (Zi Publications, 2010.) マレーシアのインターネット・ニュースのThe NUT Graph(http://www.thenutgraph.com/)が掲載しているマレーシアの主に文化芸術関係の著名人インタビューをまとめ…

マレーシアの職場に私用電話が多いわけ

46ヵ国のSNS利用を調査したところ、インターネットの交流サイトでの友達(ネットフレンドとかネット友達とか呼ぶらしい)が世界で最も少ないのが日本人、最も多いのはマレーシア人だったらしい。このニュースが流れてから、どうしてマレーシアではネットフレ…

『水辺の物語』(4)

アジアフォーカス・福岡国際映画祭で観たウー・ミンジン監督の『水辺の物語』のメモ。思いついた順に。 父は何でも知っている フェイが海辺でスーリンの母親を助けたとき、後ろの海をカンの船が通っている。毎日あのあたりを船で通っていて、スーリンの家族…

『水辺の物語』(3) マレーシア発のアジア映画

ウー・ミンジン監督について語る上でまず押さえておくべきことは、ウー監督がマレーシアの英語系華人であることだろう。「マレーシアにはマレー人、華人、インド人の3大民族がいて、それぞれが民族語を持っており、それと別に家庭では方言を使い、よそで他民…

「水辺」の物語――陸と海のはざまの物語

昨日に引き続き、アジアフォーカス・福岡国際映画祭で観たウー・ミンジン監督の『水辺の物語』について。 この作品の英語タイトルは『Woman on Fire Looks for Water』で、華語タイトルは『遺情』だが、日本語タイトルは『水辺の物語』になっている。英語の…

マレーシア発のアジア映画『水辺の物語』

アジアフォーカス・福岡国際映画祭でマレーシア映画の『水辺の物語』を観た。ちょっとわかりにくいところはあるけれど、強くお勧めしたい映画の1つになった。 ちょっとわかりにくいところがある理由は、おそらく、この映画の物語が唯一の解釈に収斂していく…

サバで増えているもの

ヤスミン作品の話が続いたが、少し時間を戻して8月のサバ訪問の話。 久しぶりのサバはいろいろと変わっていた。サバ開発問題研究所(IDS)はカラムンシン・コンプレックスから出てプナンパンにある独立した建物に入っていた。州経済企画庁(EPU)はMUISビル…

マレーシア・インドネシア関係の本

用事でバンドンへ。バンドン工科大学の日本文化クラブの盆踊りや合気道の催しを見せてもらう。今回は社長のお供。社長が盆踊りに飛び入り参加すると部長も課長も踊りだす。ホモソーシャルな社会なので一緒に踊らないわけにもいかない。 同じころ、バンドン市…

アミル・ジャヤの小説の英訳

何の縁か、マレーシアの本屋でこんな本を見つけた。 Amil Jaya. Burial Urn. (Institut Terjemahan Negara Malaysia, 2009) 著者のアミル・ジャヤはサバ出身でマレーシアの国民的な作家。サバ出身で全国レベルで通用する作家として高い評価を得ていたが、ASE…

マレーシアで買った本

マレーシアで買った本(一部はDVD)。ボルネオ、華語文学、ゲイ、映画、イスラム教、政治、災害など。 冰谷「走進風下之郷」(有人出版、2007) 「冰谷」と言えばサバの内陸部の地名ビンコールの華語表記だし、「風下之郷」はサバの雅称だしで、怪しいと思っ…

マレーシアのトリビア本

マレーシアの本屋で見つけたおもしろい本。 Malaysia at Random: Facts, Figures, Quotes and Anecdotes on Malaysia. (EDM, 2009) 一言で言うとマレーシアのトリビア本。マレーシアの首相の月給だとかマレーシアにある登録タクシーの数だとかが脈絡なく並べ…

テレビドラマ「Sekar」

コタキナバルの街にナジブ首相とジョセフ・クルップの顔が並んだ看板がいくつか出ていたのでどういう取り合わせかと思ったら、ナジブ首相がサバを訪れ、クルップが総裁を務めるPBRSの集会に参加するためだったようだ。たまたま泊まったホテルがその会場だっ…

コタキナバルのブルネイ人

コタキナバルは海沿いの街、というより海に向けて広がり続けている街なのだが、街を歩いていても海がほとんど見えなくなった。護岸工事?のために海岸に沿って囲いが立てられ、海にアプローチできなくなった。だからちょっと高い建物に上らないと海が見えな…

「ボルネオ」の熱帯雨林と弓矢

久しぶりのコタキナバル。日曜日なのでガヤ街のマーケットへ。骨董品屋の店主に会い、クダット沖で引き揚げられた沈没船から出てきた北宋の陶磁器という器を見せてもらう。でも、素人の私にはどう見てもつい最近焼いた器にしか見えない。一皿5万円にまけてや…

「1942 怨霊」――国際共通語としての日本語

何年か前に購入はしたものの、怖いもの系だろうと厳重に管理しておいたもの。怖くはないという情報をいただいたので観てみることにした。 改めてDVDのカバーを見ると、使用言語が日本語になっている。このことにまず驚いた。シンガポールで作られたマレーシ…

マレーシア・インドネシア関係/TKI

ジャカルタで買った本のうちマレーシア・インドネシア関係のものとTKI関係のもの。 Malaysia Macan Asia: Ekonomi, Politik, Sosial-Budaya, & Dinamika Hubungannya dengan Indonesia. (Khoridatul Anissa. Garasi, 2009) マレーシアの政治経済、社会文化、…

「セルアウト!」再び

「セルアウト!」とQ&A。会場でも「2回目」と言っている人を見かけたので、リピーターはほかにもいたようだ。 Q&Aは、監督がサービス精神旺盛なのでとても興味深かった。 はじめのうちカメラが揺れたり色の調整があっていなかったりすることについて。あれは…

映画「セルアウト!」――マレーシア華人として生きる決意

東京フィルメックスでマレーシア映画「セルアウト!」(Sell Out!)を観た。 はじめはちょっととっつきにくい印象を受けたけれど、前半のよくわからないエピソードの1つ1つが後半で組み合わさっていくにつれて、ドタバタ喜劇とミュージカルの間からマレー…

ホー・ユーハン「心の魔」

ホー・ユーハン監督の「心の魔」(心魔、At the End of the Daybreak)を観た。 「心の魔」を観る前にユーハン監督(以下、敬称略)と話をする機会があった。これから観ると言ったので内容についての話にはならなかったが、1つだけ、「鳥を探してみて」と言…

「タレンタイム」−−死による再生

「タレンタイム」について、細かい内容に触れずに感想を書くのは難しいが、物語と直接関係なく舞台裏に関することで1つ書いておこう。エンブン(ハフィズの母親)役を務めたアゼアン・イルダワティに関することだ。 エンブン役を務めたアゼアン・イルダワテ…

映画「タレンタイム」

福岡映画祭でヤスミン・アフマドの映画「タレンタイム」を観た。 マレーシアで公開されたときに観ていたが、タミル語の会話がかなり多いので十分に理解できないところがあった。日本語の字幕が付いているととてもわかりやすい。 映画の内容はマレーシアで観…

雑誌「Qalam」

ジャカルタへ。このブログはもともとジャカルタに4ヵ月滞在する間のメモ代わりに作ったためにタイトルがジャカルタになっているけれど、ジャカルタ滞在を終えたあとは記事の内容とタイトルが合致するのは年に数回になっている。その数少ない機会が今。 本屋…

マレーシア・インドネシア関係

もうすっかり季節もののニュース扱いになっていると考えればいいのか、インドネシアではまたマレーシアへの敵意を煽ろうとする報道がされている。 今回はマレーシア観光局のパンフレットにバリの伝統舞踊が使われていたため、マレーシアはインドネシア文化を…

ヤスミン監督の「チョコレート」(15マレーシア)

断食に入ったアチェを離れて近郊の大きめの町へ。これまでインターネット接続が限定的だったけれど、接続環境が良くなり、ようやく待望の「15マレーシア」を観ることができた。 「15マレーシア」について詳しいことは省略。マレーシアの15本の短編が1ヵ月か…